フランスバイヨンヌから、スペインに入る予定の日。


この日はお店やレストランが全滅に近くなる日曜日の為、
スペイン・サンセバスチャンのホテルに18時までに入ること以外、

特に予定を入れていなかった。


そのため、バイヨンヌ周辺の街を訪ねようと決めていた。

公共交通機関で行ける中で、候補だった街は下記の4つ。


①ビアリッツ→前日に行っておいた。

②サン・ジャン・ド・リュズ→半年前、2月に行ったが、夏の街を見てみたい。

③ラ・リュール山の登山列車→夏は人気らしいので、行ってみたい。

④サン・ジャン・ピエ・ド・ポー→巡礼者の街、見ておきたい。


前日にインフォで色々聞いて、

「う~んラ・リュール山は難しいけど、行けないこともないわ」って言われた。

そう言われると、行ってやろうじゃないの!って思ってしまう私。


バイヨンヌからバスか電車でサン・ジャン・ド・リュズに行き、

そこからバスを乗り換えて、登山鉄道のある駅まで行き、

バスク地方を一望できる登山鉄道に乗って、帰ってくる。


時刻表とにらめっこしたら、

日曜日はすっかり本数の少ないバスでバイヨンヌを出ると、

帰りの時間に間に合わない。

電車でいけば、全てがうまくいきそうだ。


綱渡りルートの為、夜中に散々シュミレーションをし、

早起きし、いざバスク一の景勝地ラ・リュール山へ!!

と意気込んで、バイヨンヌ駅へ。


切符も買ってないので、早めに駅に着き、電示板を見て唖然・・・

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私の乗ろうとしていた列車が運休。

ありえない。


次の電車は1時間後。それでは、登山列車に間に合わない。

ありえない。


駅のインフォメーションも空いてなかったので、空くのを待って質問責め・・

したところで、埒が明かない。


私の予定どうしてくれんのよ~!!って叫びそうになりながら、

ガラガラの駅の切符売り場で、色々調べ、

滞在時間は短いが、

候補地の一つだったサン・ジャン・ピエ・ド・ポーに行って帰ってこれることが判明。


それにしても、発車の時刻まで1時間以上ある。

バイヨンヌの川沿いで佇み、日記を書き、2回目の朝ごはんを食べ(笑)・・・


やっと駅に戻ってきた。


朝いちには数人しかいなかった駅は、

1日に数本しかないパリ行きのTGVが来る直前だったため、人で賑わっていた。
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しかし、私は賑やかな方のホームではなく、

1車輛しかないサン・ジャン・ド・ピエ・ド・ポー行きの

ディーゼルローカル列車に乗り込んだ。


10:50にバイヨンヌを出て、12:10サン・ジャン・ド・ピエ・ド・ポー着。

片道4.8ユーロ。

約1時間20分のローカル列車の旅。


走った方が早いのでは?と思うくらいの車よりも遅いスピードの列車からは、

美しいニーヴ川沿いの風景が満喫できた。
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途中で釣りやカヌーを楽しむ人を見つけると、

その人が手を振るまで、運転士が「ポッポ~」と汽笛を鳴らし続けている。

こんな田舎では何でもあり、って感じののどかな光景だ。
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のんびり列車に乗っていると、ラ・リュール山へ行けなかったけど、

この風景を見られただけで帰ってもいいくらい癒された気分になってきた。
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隣に座ったドイツからの巡礼者の女性とも最後の方に少し会話をした。

大きなリュックサックを背負ったカミーノ(巡礼者)だ。

巡礼の旅のCredencial クレデンシャル(巡礼手帖)も見せてくれた。


そして、この数週間前に起きた、

巡礼地スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう列車の事故について話していたら、

彼女は涙を流した。私も泣いてしまった。

最終の目的地を目の前に、あの暴走列車に命を奪われた理不尽さ。


「でもね、彼たちはみんな神に召されたから大丈夫なの」

この言葉に救われた。



涙を拭いて、終点St-Jean-Pied-Port サン・ジャン・ピエド・ポー駅で下車。
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一日に数本しかない列車なので、小さな駅です。
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駅から中心街までは徒歩約10分。

ナヴァール王国のピレネー山脈北斜面において、

もっとも重要な町として栄えたサン・ジャン・ピエド・ポー。


駐屯地でありながら、

巡礼道の要所としても栄えた牧歌的な田舎町は、

祈りに包まれていました。
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地図が無いため、インフォでゲット。

英語のMAPをもらったら「どこから来たの?」って聞かれ、

「日本からだよ」って答えると、

訳がちょっと変な(笑)、日本語版のMAPをくれた。


やはり世界中から巡礼者が来る、巡礼路要所の街だ。


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巡礼者はキリスト教の三大聖地の一つ、

スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して旅をする。

そこには聖人である聖ヤコブが埋葬されているという。


その巡礼者がスペインに入る直前にに通過する

宿場町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町には、ホタテ貝のマークをよく見かける。


巡礼路の呼び方は、

フランス→Le chemin de Saint Jacques

スペイン→Camino de Santiago de Compostela


ちなみにホタテ貝はフランス語でcoquille Saint-Jacques 聖ヤコブの貝。

そのため、巡礼の道では、聖ヤコブのシンボルとしてホタテ貝のモチーフをよく目にする。


帆立貝がなぜンボルかというと、

ヘデロ王によって斬首されたヤコブの遺骸が船によって運ばれてきたとき、

船底にたくさんの貝が付着していたこと以来、

ホタテ貝はヤコブの象徴となったと言われている。


ホタテ貝のマークの着いている建物は、

巡礼者のための休憩所だったり、

巡礼手帖を発行してくれる巡礼事務所だったりする。


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巡礼者(カミーノ)の大きなリュックにもホタテ貝が。

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お土産物屋さんには、巡礼者のための杖も売っている。
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ナヴァールの門。


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中世の城壁の一部を突き破って建設された門。

本当にそんな感じ、馬車が通れるギリギリの大きさだよね。



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門をくぐると、ニーヴ川が。

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手前が13世紀初期の建築物と言われる、

ノートルダム・デュ・ブ・デュ・ポン教会。

奥がノートルダムの門。
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教会前の道を城砦方面へ向かって坂道を登る。

カワイイ建物が続きます。


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ここを登ると城砦へ行ける。

今回は時間が無いので断念。


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世界文化遺産の聖ヤコブの門。
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城砦へ向かうための石畳の道。
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城砦の周りの巡視路では、バスク民族衣装を着て馬に乗ってるお兄さん達が。

今だに巡視をしているのかなあ?
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見晴らしの良い高台には、家族と思われるカミーノ(巡礼者)がお昼休憩。

緑豊かな美しい田舎の風景と、風が心地いい。

こうやって、休憩をとって、またひたすら歩くのだ。
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急ぎ足で回ったサンティアゴ・デ・コンポステーラ。

滞在時間はたったの約1時間。


13:10のバイヨンヌ行きのんびり列車に乗り込みました。


朝からトラブルに見舞われたが、結果オーライ。

この素敵な街にこれたことに感謝。


さあ、お次はいよいよスペインに入ります。