カキタレだから
芸人のコンパも行く
カキタレだから
他の芸人にカカれることもある

彼女じゃないから

でもそれは
あっちゃんに対する
裏切りだとコウは思ってる


あっちゃんと昔
コンパ中に電話をした

皆でホテルに行く
そんな流れの時

止めて欲しいだなんて
ワガママな気持ちを抱いて
あっちゃんに連絡すると
そんな気持ちを
全部わかってるかのように
優しく諭された

「コウが抱かれても良いと思うなら行きなよ
 俺にそれを止める理由はないから」

あっちゃんの言葉は
当たり前だった

昔のコウなら
誰かに電話なんてしなかった
何も思わず
簡単にカカれてた


その日、一緒に
ホテルに泊まった芸人と
何もなく終わった

信用してくれなくて構わない

何もなかった
ただそれだけのこと


コウは昔
あっちゃんの後輩の
カキタレだった

一人じゃない

だからコウは
いくらあっちゃんを好きでも
カキタレのままでいい

あっちゃんが好きだから
カキタレのままでいい






彼女は言う

「芸人なら誰でもいいの?」

誰でもいい人も
中にはいるかもしれない

「軽い女が多いよね」

そういう女が
多いかもしれない

「何で芸人じゃなきゃダメなの?」

ダメなわけじゃない

「優越感に浸りたいだけでしょ?」

そういう人もいる

「芸人のコンパってヤらなきゃいけないんでしょ?」

そんなこともない

「カキタレとかすぐヤる女でしょ?」

そんな女だけじゃない

「良いように利用されてるだけでしょ?」

そうじゃないかもしれない

「あっちゃんだって嘘つきかも知れないよ?」

人は少なからず嘘つきだよ
でもコウはあっちゃんの嘘も信じたい
意味のある嘘だって思いたい

コウもあっちゃんに嘘をつく
取り返しのつかない
裏切るような嘘だってついたから

「コウも同じだよ
 他のカキタレと変わらない」

同じだよ
だってコウはカキタレだから

でもコウは
カキタレだけど
後悔しない

あっちゃんと
身体だけの関係だとしても
それ以上をコウにくれるから


だから
いつも覚悟してる

あっちゃんに
いつか彼女ができることも
突然連絡ができなくなることも


覚悟してる








むかしむかし
コウには
それはそれは
大好きで
仕方ない人がいました

その人を思えば
涙が流れるくらい
大好きでした

ただ1つ
問題と言う問題をあげるなら
彼は芸人だったのです


好きだった間
とても幸せでした
とても笑いました
とても素敵な時間でした


だけれど
いつも辛かった
いつも泣いていた
いつも離れたかった


嘘をつかれた数も
裏切られた数も
もう覚えてはいませんが


それでも好きで
居続けることもできたのですが
繰り返される
他愛ない喧嘩ばかりの時間と
すれ違う時間の多さに

音をあげ離れたのは
コウでした


今でも
心のどこかで
コウは彼が好きなんでしょう


彼を振りきれず
苦しいのに
泣くこともできなかった

そんなときに
コウはあっちゃんと出会いました

出会った頃
あっちゃんはコウに
聞きました

「好きな奴とかいないの?」

「人を好きになるのは怖いよ」

「コウが真正面から向き合えば怖いことなんてないんだよ
 逃げちゃダメなんだよ、コウ」


そう優しく言ってくれたのは
後にも先にも
あっちゃんだけなのです

だからコウが
自然とあっちゃんに引かれたのは
不思議なことなんかじゃ
なかったのです