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アメリカにいるスピーチセラピストの雑記帳

ハートフルスピーチセラピスト、Aiのブログです。

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アメリカアメリカの認知症の認知リハを日本日本に紹介したい!

アメリカでスピーチセラピストをしています

ハートフルスピーチセラピスト、Aiです音譜

読みに来てくださってありがとうございますハート

 

今日はある患者さまの見当識のセラピーについてのお話です。

まだ訓練し始めなので効果については後ほど!となりますのでご了承ください。

 

患者さまは、2月の末に交通事故を起こして、その後認知症の症状が出ている80歳前半の日本人の男性です。

この患者さま、ご家族が1-2年前から「何かおかしい」と神経内科を受診して「年相応」と判断されていたそうです。

その後もご家族で2階建てのお家に住んでいて、日常生活動作は自立していますが「監視」が必要な状況だったそうです。

事故を起こす前には階段の上から下まで転んだりと、数回の転倒歴があります。

でも家族は「どうしていいかわからない」状態で、今回交通事故を起こし、リハビリ目的に私の施設にいらっしゃいました。

転院前の病院の記録には「頭部外傷」の記載はありませんが、「認知力の低下」が記載されていて

「病院では混乱がみられ、転倒や徘徊防止のために抑制帯が付けられていた」とのことでした。

病院ではスピーチセラピーの記載はありませんでした。

そういう経緯で、「認知症」でも「頭部外傷後の高次脳機能障害」とも評価されていませんでした。

頭部MRIの検査が病院でされていて「異常所見なし」となっているので、

直接関与する医学診断名はない状態ですが、

交通事故で頭部打撲、その後認知機能の著しい低下をきたしていると明記して、

「Cognitive linguistic deficit (ICD-10Code: R41.841)でスピーチセラピーをしています。

 

初回評価時には、

     見当識の低下、

     病識の欠如、

     注意力の低下、

     記憶力の低下(短期記憶障害)、

     問題解決能力の低下、

     Safety awarenessの低下

が著しくみられました。言語力は保たれていますが、上記の症状のために会話の内容はちぐはぐでした。

それと同時に、水分でむせがみられていました。

 

徘徊がひどく、転倒の危険性がとても高い状態だったので、

見当識を改善して、ご自身が今どこにいて、何の目的のためにそこにいるのかを分かってもらうことによって、

少しでも安全性が改善されればと見当識の訓練をセラピーのゴールに設定して取り組んでいます。

まだセラピーを初めて3日目なので、今後効果がどのように表れるかはまだわかりませんが、

今やっている内容をお話しししたいと思います。

 

訓練前の時間の見当識は、昭和30年の3月。日にちと曜日は「不明」でした。

場所は、60年前に住んでいた日本の住所を答えられました。

アメリカの住所は?と聞いたところ、カリフォルニアまでは答えられましたが、市の名前、住所は答えられませんでした。

ご自身の生年月日とお誕生日は正答。

なぜリハビリ施設にいるのか、家にいないのかとの質問には「ちょっと出かけている」と答えられました。

 

見当識を改善するためのストラテジーとして、

 

1日目は、Reality Orientation Trainingでやってみましたが、まったく情報が保持されなかったので、

2日目には、Reality Orientation TrainingとSpace Retrievalを組み合わせて練習しました。

30秒後の再生はできましたが、1分か2分が保持可能な時間で5‐6回繰り返してもなかなか定着、延長しませんでした。

 

そこで、3日目の今日は、Reality Orientation TrainingとSpace Retrievalに

エラーレス学習法、External Memory Aidsを組み合わせて、

ターゲットを日付と場所の2つだけに絞って、訓練を実施しました。

まず最初に、お話をしながら、患者さまの誕生日、渡米した年、今日の日付をタイムラインに沿って表示して、

今日の日付:3月5日金曜日」はハイライトで示しました。

そして、今いる施設の名前と場所(市の名前)、患者さまの住所、リハビリの目的を書いて、

今いる施設の名前をハイライトで分かりやすくしました。

最初の数回は、「紙をみながら答えてくださいね」とお話しして、

「今日は何月何日ですか?」、「今私たちがいるのはどこですか?」と質問しました。

紙はもってみてはいますが、不正解。

そこで、答えを間違えないように

「今日の日付は・・・」と“今日の日付”を指さしながら質問し、「3月5日金曜日ですね」

「私たちが今いるのは・・・」と”今いる場所”を指さしながら「〇〇〇」ですね、

と先に答えを与えました。

これを30秒間間隔で3回繰り返した後、実際に患者さんにこたえてもらいました。

そうすると、30秒後〇、1分後〇、2分後〇、3分後〇、5分後x、

2試行目、30秒後〇、1分後〇、2分後〇、3分後〇、4分後〇、5分後xと

少し手ごたえを感じました。

 

この方の訓練時間は1回30分、週5回。

最初の5分は嚥下訓練に充てているので、認知の訓練は20分ほどしかありません。

来週からは訓練時間を45分に延長してもらえないかお願いしています。

今日行った訓練の効果は土日を挟むため期待はしていませんが、

月曜日からの訓練が楽しみです。