「怪奇小説集」 「最後の花時計」 | Chocolat★Diary

「怪奇小説集」 「最後の花時計」

遠藤周作先生の本を最近ずっと読んでいます。


「怪奇小説集」 遠藤周作著


なんだかおどろおどろしい表紙の本ですよねニコ


遠藤先生の実際に体験された怪奇現象が三話。そしてその他は恐らく小説でフィクションと思われます。

先生が体験したのはフランス留学時代のルーアンで起こった話、リヨンでの学生寮での話、そして熱海の旅館で起きた話です。


先生の怖いもの知らずな様子、好奇心一杯の様子が可愛いんです。そして真面目くさった顔で幽霊がいるかを確認するためスタッフと打ち合わせをしたり、幽霊が出てくるのを待ったり、第三者としてその様子を想像するとおかしくておかしくて・・・きゃー


あとがきも面白いんですよ。


「前略-全国の幽霊屋敷を探検するというのは、私の年来の希望だったから、その時も実行したのだが、あれから十年。もし読者の中で新しい幽霊屋敷をご存知の方は、お手数でもお教え下さい。飛んでいって探検したいと思っています。」


先生らしいにゃ


「最後の花時計」 遠藤周作著



遠藤先生の最後のエッセイとなった「最後の花時計」です。先生が亡くなったのは1996年の9月29日。それはこのエッセイが産経新聞に連載されていた一年半後。最後のエッセイをもって、執筆活動が中断されたのです。


闘病生活は既に1993年5月から始まっていたのです。このエッセイが書かれている間も病気と闘っていたのですね・・・。そう思って読むと、とても切ない気持いでいっぱいになってしまいました。エッセイの中にも、高齢になった先生の昔からの友人や知人が亡くなっていくことに寂しさを感じるという話が何度も出て来ていました。避けられない「老い」。


以前読んだことのある随想集では、文章に明るさ、元気さ、先生のユーモアが溢れていたように思いますが、こちらのエッセイでは限られた時間の中で皆に伝えたいことを一生懸命弱くなってしまった力をふりしぼって書いているように思えます。そして闘病生活中だというのに、一切自分の病気のことについてふれない・・・そんな先生の強さに感激してしまいます。それは先生の強さだったのかしら。何がそうさせたんだろう。


この本は図書館で借りた本ですが、興味深い本が何冊も引用されていたので、近々買って大事に何度も読みたいと思います。先生の最後のエッセイということで、私にとって特に大事な本になりましたきら☆