こんにちは!さやかです。

みなさまは、“夢野久作”の小説を読まれたこと、ありますか?
戦前の作家なので、馴染みの無い方もいらっしゃるのでは…?

私は個人的に、福岡出身ということで親しみがあり、作風がとても好みなので、一番好きな作家です。

その夢野久作オススメ小説を5作品、ご紹介しますね!

 


夢野久作(ゆめの・きゅうさく)
 1889(明治22)年生まれ、福岡県出身。
 昭和初期に活躍。
 代表作『ドグラ・マグラ』が「日本三大奇書」のひとつ。
 「夢野久作」とは、昔の福岡地方の方言で、「夢想家」「夢ばかり見る人」という意味から。

推理、怪奇、ホラー……
そんな作品が多いですが、幻想的で可愛らしい童話もあり、読み応えたっぷり。

初めての方には敷居が高く感じられるかもしれませんが、読みやすい短編もありますので、是非、参考にしてみてください。


■オススメ1『ルルとミミ』
「鐘作り名人だった父親が亡くなり、跡を引き継ぎ鐘を作り始めた、幼い息子のルル。
可愛い妹のミミの応援を受け、みごとな鐘が出来上がり、お寺へ納めることが出来ました。
ところが……」


短編。21ページ。

幼い兄妹のお話。
美しい日本語で綴られています。
久作らしい毒感は無く、むしろ透明感があり、初めて読む方向けの童話です。

収録本
『夢野久作全集(1) 』 ちくま文庫 等

 

 

 

 

 




■オススメ2『瓶詰地獄』(『瓶詰の地獄』とも)
「海を漂ってきた、手紙の入ったビール瓶3本。
その手紙は、無人島に漂流した兄妹からの、救いの手紙だった……」


短編。14ページ。

美しい兄妹のお話。
4篇の手紙から構成されています。
『少女地獄』という作品も同様、手紙によりお話が成り立っているのですが、この「書簡体形式」は本当に、久作の真骨頂だと思っています。
叫び出したくなるような、なんとも言えないモヤモヤが胸に渦巻くこと間違いなし。
「これぞ夢野久作」と言っても過言では無いと思います。

収録本
『瓶詰の地獄』角川文庫 等

 

 

 

 




■オススメ3『犬神博士』
「オカッパ頭の少女の格好をした、踊りが達者な美少年チイは、大道芸人の育ての親と一緒に、街から街への日々。
行く先々で、不思議な能力を発揮し、大人達の度肝を抜く……」


長編。345ページ。

福岡日日新聞(現在の西日本新聞)に昭和6年から約4ヶ月、連載されていました。
福岡が舞台で、軽快な博多弁が沢山飛び交い、テンポ良くお話が進んでいきます。
主人公の犬神博士と呼ばれる青年が、自分の幼かった頃の事を新聞記者に語る形で描かれています。
ユーモアたっぷりの犬神博士の語り口調に呑み込まれることうけあいです。

収録本
『犬神博士』角川文庫

 

 

 

 






■オススメ4『悪魔祈禱書(きとうしょ)』
「薄暗い、雨の降るある日…。
とある古本屋を訪れた客が、店主から聞かされた、外国の古い聖書の正体は……。
その聖書を手にした者の結末は……」


短編。22ページ。

こちらも、古本屋の店主がお客に話をする、語り口調で描かれています。
背中がゾクゾクする内容で、衝撃のラストに雷で撃たれたような気持ちになります。

収録本
『人間腸詰』角川文庫

 

 

 




■オススメ5『ドグラ・マグラ』
「……ブウウウーーーンンン、………
時計の音で始まり、時計の音で終わる物語。
読んだ者は、一度は精神に異常を来たすと言う……」


長編。上:324ページ、下:377ページ。

上記の短編で慣れてきたら、是非、手に取って頂きたい作品です。
初見の時は、上巻の半ば「チャカポコ、チャカポコ」のくだりで挫折しそうになったのですが、勧めてくださった先輩から「チャカポコは気にせず、その先に進んで!」と言われ、頑張って読みました。
(私はこれが久作との出会いだったので、ちょっとハードル高かったかも知れません…笑)
久作が作家人生初期の頃から練りに練って創り上げた大傑作です。

収録本
『ドグラ・マグラ(上)(下)』角川文庫

 

 

 

 

 

 


 

 

いかがでしたか。
ちょっぴり毒を含んだ夢野久作の世界。
そっと覗いてみては。。。