鉈切り丸
先日、東急シアターオーブにて『鉈切り丸』を観劇。。
*ネタバレを含んでおります。ご了承下さい。
生瀬勝久さん、若村真由美さん、渡辺いっけいさん等、とっても豪華な俳優陣。
主役はV6森田剛さん。森田さんと舞台が好きな私2回目の観劇でございます。
率直な感想を言えば、ん~どこがヒールなんだろうか?
私としては、生まれ持っての”悪”を期待していた部分があったので、
あそこまで行き着くまでの彼の人となりを聞いていると、
「仕方ないじゃん・・。」と思わざるを得ず、ちょっと期待外れ。
確かに現実でも、不可解な犯罪を犯した人間の人となりをひも解いて行くと
納得いく部分もあるのが道理。
だったら、鉈切り丸も納得・・・でもでも、どうしても劇場出ても「何なんだーあいつ!」と
同情の余地が一片も無く、森田さんすら嫌いになりそうなそんな『悪役』が観てみたかった。
確かにエグイ部分は多々あれど、コンプレックスを抱えた人間には、
ちょっと理解できる部分もあったりする訳で・・・。
って、私だけかしら?性格悪いのかな~自分。
そういえば、お勉強していた時に学んだ、
子どもはまず母親と絶対的な信頼関係を築き、そこから社会を広げていき、
人間関係を形成していく。って事は、最初でつまずいてしまうと、後々に
響いてくるって事。勿論、理論が全てでは無いけれど、あながち間違いでも無い気がする。
あの母親イトさん然り。愛された事が無いから、愛し方が分からない。
憎む事でしか、子どもとの関係を持つ事が出来ない・・何とも哀しい関係です。
義朝公の子を持った事を誇りに、彼を育てていたら、また違った人生が
あったんだと思うんだけどな。。
地獄から抜け出したい一心で、わずかな希望に掛けたのも
彼女の人生を考えれば仕方の無い事なのかもしれないけど。
そして、巴御前!とても美しく、日本人形の様でした。ちょっとセリフが聞き取りずらい部分
もありましたが、初舞台での体当たり的な感じ。今後が楽しみ!
そうそう、巴御前の最後のシーン。
あれって、範頼を殺したいほど憎んでいるけど、どこかで彼に情の様なものが
ある感じだったんでしょうか・・?
幾分女性の嫉妬やら、義盛との仲を疑った範頼に嬉しさを感じているような
何だか複雑な感情を抱いているように思えたんですが、
正解は分からず・・・・。
頼朝公の最期には、彼の人生が凝縮されてました。
トップに立つ人間にしか分からない悲哀を知らされ、
涙涙・・。歴史で学んだ彼とは違うキャラクター。
リチャード3世のなせるわざ?
政子さん、お美しい。いや勿論美しいだけではなく、
あの時代の女性はああで無くては
生きていけなかったんだろうな・・と、思わされました。
建礼門院との問答は、本当に納得。。。
そして、不安とは・・・のくだり、心に沁みました。
自分にも言い聞かせていたのかな。。
さて、義経びいきとしては、1部で早々に亡くなってしまったのは
悲しかったですが、須賀健太くん、彼の年齢が出させるものなのか
演技なのか、純粋で物悲しさが本当に伝わってきました。
どうしても、この場面になると腰越状を思い出す。笑
そしてそして、鉈切り丸最後のシーンで可哀想と泣いている女性もおりましたが、
私は哀れで泣けてきた。結局、誰からも愛されず、孤独なまま、
彼は一人大地に吸い込まれていく。。
いや、空に行けたのか・・・?
このシーン、最後のセリフを発しているいっけいさんの表情から
目が離せなかった。何とも含んだ顔をしていらっしゃるのです。笑
こちらも正解は分からず・・。
色々と考えさせられる作品でした。
あっ!!特筆すべきを忘れおりました。
木村了さんの殺陣!目が釘付け・・軽やかで美しくて。。
素晴らしかったです。
森田さんの殺陣は、あの態勢で大変だとは思いますが、
若干タイミングのずれなのか、ん?と思う点が何点か
ありました。
森田さん、最近こんな感じの役が続いていて、
どうなんだろう?彼の舞台人としての振り幅は
意外に狭いんだろうか?
読むのに退屈するほどの長さの感想書いてしまいました。
どうしても、書いておきたかったもので 笑
