いわゆる夫婦墓で、じーじの両親の戒名が前面に彫ってある。
古いお墓なので、墓地は結構広い。
だからか、御覧のように植栽がしてある。
これが厄介。
じじばばを引き取り介護を始めた時から、お墓の管理は私たち夫婦の仕事。
毎年お盆前に、植え木の伐採と草むしりを行ってきた。
ばーばが言うには
「今のお墓の隣に、ご先祖よりは小さいお墓を建ててくれればいい。」
同じことを生前、じーじも言っていた。
そこで、石材屋さんに聞いてみた。
「一応、父と母の意向はそういうことなんで、今の墓石が耐震的に大丈夫なようなら、
そのとおりにしようと思ってるんですけど~。」
「それは、ご遺言ですか?」
「イヤイヤ、そこまで確固としたものではないんですけど。」
石材屋さんの見立てでは、戒名が彫ってある一番上の墓石は大丈夫なようだが、
それを支えている土台の石の部分の劣化が進んでいるそう。
「今しばらくはこのまま残しておいても大丈夫だと思いますが、
いずれは建て替える必要があります。」
今やるか、うちの息子の代にゆだねるか?
今でしょう。
そう、息子の代にゆだねるのは絶対に避けたい。
家も建て替え、仏壇も買い替え、お墓も建て替える。
じじばばは、自分たちの代でできなかったことを、
全部跡取り娘である「私」に託してきた。
同じ苦労を、うちの息子たちにはさせたくない。
結局、今のお墓を撤去して、新しい墓石を建てる計画で見積もりを依頼した。
ただ、外枠はいじりだすと工事代金もかさむので、そのまま利用することに。
極力費用を抑え、シンプルにとお願いした。
うちのお墓の周りは、すでに代替わりをしていて、比較的新しい墓石が並んでいる。
お墓を見ると、後を継いだのがきっと娘さんだろうな、とわかるものがある。
「○○家」と彫っていないからだ。
今までずっと「家」制度で受け継がれてきた、お墓。
これからはどうなっていくんだろう。
でもね、きっと続いていくんだと思う。
私のように、
『墓地があるからもったいない。墓石だけ新しくすればいいや。』
なんて安易に考える人がいる限り。