屋根の上のヴァイオリン弾き @日生劇場 Feb 18
テヴィエ:市村正親/ゴールデ:浅茅陽子/ツァイテル:匠ひびき
ホーデル:剱持たまき/チャヴァ:安倍麻美/モーテル:駒田一
パーチック:吉野圭吾/ラザール:鶴田忍/ 他
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このタイトルはユダヤ出身シャガールの同名の絵画から
付けられたものなのだそうです。
勘違いしてましたが、主人公=ヴァイオリン弾きではありません!
迫害を受け、定住の地がないユダヤ人は
”まるで屋根の上で演奏するヴァイオリン弾きのように
危なっかしい”という例えです。
重いテーマですが、アナテフカ村でたくましく生きる人々の様子や
ユダヤ人テヴィエ一家の家族愛を描いています。
たくさん笑ってホロリとさせられる素敵な作品でした。
長い間たくさんの人を魅了し、愛される理由が分かります。
テヴィエ役4代目にあたる市村さんはミス・サイゴンで
私のお気に入りのエンジニア役でしたが、テヴィエパパも
相変わらずサービス精神旺盛で観客の笑いを独り占めしてました。
次から次へと小ネタを織り込ませて、私もついつい
今度はどんな面白いことをしてくれるんだろう・・・って期待
しちゃいました。
歴代の森繁久彌さん・上條恒彦さん・西田敏行さんは
どんなパパだったのでしょう。。。
家族思いで一生懸命な父親像。奥さんに頭が上がらないって所も
男性にも共感できるシーンが多そうです。
舞台に盆がありましたが、レミぜのように盆が回ると言うことはなく
人が円を描いて回ったりする使い方をしていました。
奥には半円形装置(枠)があり、情景が映し出され
傾斜のある丘を役者さんが出入りをするといった演出でした。
私はその丘にヴァイオリン弾きが腰を丸めてたたずんでいたり
テヴィエを見つめている姿が風情があって好きでした。
ユダヤ人をテーマに宗教的な要素も多く
安息日の祈りや結婚のシーンは興味あるものでした。
■□印象に残ったシーン■□♪曲名は正しくないかも知れません
・♪「しきたり」は村人が大勢出てきて大合唱
早くも圧倒されてしまいました。
テヴィエが両手を斜めに挙げて踊るシーンは印象的でした。
市村さんはホントにアクティブな人・・・
軽快な動きとステップにまたもや感心。
・♪「サンライズ・サンセット」
頼りないモーテルが男らしく立派になっていく様子が
なんとも微笑ましい。テヴィエとの掛け合いが可笑しくって◎
駒田モーテルと市村テヴィエの息の合った演技に
クスクス笑わせてもらいました。
駒田さんはは役ごとに見事に印象が変わるので
興味深く見れました。テヴィエに全く相手にされない情けなさは
ついつい頑張れ~!エールを送りたくなります。
さて、結婚式シーンのラストで新郎が踏みつける物は
ワイングラスだと思うんですが、私の目には
白い袋状の物体にしか見えませんでした・・・
白いものに包まれたグラス?いつものように
お決まりの2階席だったので見えなかった・・・。
この儀式はエルサレム神殿の破壊を意味し
このような幸せな時にも悲しみを忘れず
イスラエルの回復を祈るという意味が込められているそうです。
長女の匠さんは役柄なのでしょうか?とっても控えめな女性で
思ったより声量が弱かったです。
・♪「ボトルダンス」は頭の上に瓶を乗せて踊るんですけど
これがまたスゴイ!かなりの集中を要するでしょうね。
コサックダンスの要素が入ってるのかな?
目が釘付けになりました。もちろん皆さん大成功(祝)
・シベリア行きの列車を待つシーン。
テヴィエとホーデルが絵になるんです。
守ってあげたくなるコゼットも好きだけど
芯の強いたまきホーデルも良かった。
ソロは気持ちが込められていて♪「しきたり」に次いで耳に残った
好きなナンバーです。
・夢のシーンで布団から出したテヴィエの足の動き。
ご夫婦のパジャマ姿がかわいい!!
・何か問題が起こる度に神様に話しかけ祈るテヴィエ。
その心の声を言葉やしぐさで表現するんですが
それがまた面白くって笑ったー。
・テヴェエとゴールデのデュエット
♪「愛してるかい?」は美しいナンバーでした。
浅茅さんはもう少し声量があって傲慢さがあると恐妻らしさが
出て恥ずかしげな歌い方がより引き立つと
思います。テレビでよく見かける女優さんなので
そのイメージが強いかも。
・村人のめちゃくちゃな伝言ゲーム。
(この村では噂を信じちゃいけません!)
・”ミシ~~ン”の言い方(byテヴィエ)
この後に続く”ヒヒ~~ン”もツボ。
・ピーチック(byテヴィエ)→パーチックです(怒(byパーチック)
絶対言うと思った!!
・パーチックのホーデルへの愛のプロポーズ!
「それってプロポーズ?」(byホーデル)
「・・・理論的には・・・そうだぁぁ」(byパーチック)
このまわりくどさ。はっきり言ってよ(怒)って感じですが
きっと照れ屋さんなのね。
そうそう、吉野パーチックの本格的ダンスが見れなくって残念。。
パンフの写真と違ってお髭がなくロン毛だったので
一人現代っ子みたいで違和感が。。。
しきたりに従った結婚をして欲しいと願うテヴィエの祈りも空しく
長女は幼なじみの貧乏人モーテルと
次女はキエフから来た革命を志す学生パーチックと
三女は異教徒ロシア人フョートカと・・父の願いを破って結婚。
しかし反対はするものの娘の幸せを第一に思って結婚相手を
「いい奴だ!」と認める心中が泣けてきました。
娘が結婚すると知ったときの父親の切なく哀しい気持ちは
いつの時代も変わらないんだなと思いました。
テヴィエ家は五人の娘がいるのであと二人もお嫁に出すのね。
お父さんは大変だぁーーー。
ちょうど昨年篠原涼子さんとご結婚されたばかりなので
皮肉にもプライベートでは逆の立場になるんですよね。
見ている方もちょっぴり複雑・・・。
お二人とも大好きなので、この場を借りて、お幸せに・・・。
なっちの妹さんの麻美チャヴァは若さがあって良かったんですが
結婚を許してもらえない叫びを表現する場面で
ただ騒いでいるだけに見えてしまいました。
初ミュージカルという事でお歌は・・・(苦笑)
あの後、村を離れたテヴィエ一家はどうなってしまったんでしょう?
村を出て行く背中が寂しく、それでいて希望を背負っていて・・・
あのヴァイオリン弾きの姿といい、音色といい哀愁を誘いました。
きっと、きっと神様はお守りくださるでしょう。
珍しく小さな子供が多く観に来てました。
この作品って子供向けでしたっけ?
公演中の泣き声がちょっぴり気になりました。
ユダヤの事とか知識があればもっと理解できたんだろうな。
いつもながら無知な自分に後悔・・・。
できる事ならもう一回観たかったな☆