今週末はスイス・エンゲルベルクでラージヒル(LH)個人第7戦、第8戦が予定されています。
今シーズンは個人戦全32試合が予定されてますので、今週末を終えると、全体の4分の1を消化。そろそろ今季の勢力図がだいぶ見えてくるのではないでしょうか?
↓今シーズンのWC男子のスケジュール
今回のブログでは、過去のWC男子エンゲルベルク大会の記録を振り返り、個人的な注目点を書きたいと思います。
開催地はスイス エンゲルベルク
スイスのチューリッヒから南に60kmほどいったところにあり、「天使の山」という名を持つエンゲルベルク。
標高が1000mを超える高地にあります。
WCが始まった1979/80シーズンから開催され、2001/02シーズン以降は毎年開催。
近年はクリスマス前の12月開催が定着しています。
ラージヒルでのWC個人戦開催数は通算64回と世界で最も多いエンゲルベルク(2位は札幌で58回)。
WC個人戦の最多勝はアホネン(FIN)の5回。
最多表彰台もアホネンの12回。
(注:出場回数に予選落ち、失格は含まない)
エンゲルベルク大会 過去5年の結果
直近5年間のWC個人戦の成績は下表の通り。
昨シーズンは2試合ともに小林陵侑とガイガー(GER)による僅差の争いになりました。
↓風の条件の詳細はこちらを参照ください
ジャンプ台との相性は?
選手とジャンプ台の相性を比較するため、この台におけるWCポイントの平均得点を計算し、上位15名を表にまとめてみました。
ただし、直近5年間で出場したことがある選手のみで集計しました。
注: 平均得点は、当該選手が出場した同会場のWC全試合における平均値(直近5シーズンではない)。また、引退した選手も含めて掲載。
現役では、小林陵侑、グランネル(NOR)、ストッフ(POL)の相性が良さそうです。特に陵侑は、この台で現役トップの3勝。
また、ポイントランキング1位のクバツキ(POL)のこの台での最高成績は5位(2018/19シーズン)。昨シーズンの2試合はいずれも2回目に進出できませんでした。相性的にはあまり良くはなさそうですが、果たして?
日本勢との相性は?
日本勢はこの台で5勝、表彰台12回と比較的相性の良いジャンプ台。
日本チームの個人戦通算成績は以下の通り。
・ 優勝: 5回
(小林陵侑3回、原田雅彦1回、船木和喜1回)
・ 表彰台: 12回
(小林陵侑4回、葛西紀明3回、船木和喜2回、原田雅彦1回、西方仁也1回、伊東大貴1回)
ここに注目
エンゲルベルクを制すればWC個人総合のタイトルに近づく?
一昨年はグランネル、昨年は陵侑がそれぞれこのエンゲルベルク大会を優勝し、そのシーズンのWC個人総合のタイトルも獲得しました。
エンゲルベルク大会の成績がWC個人総合のタイトルと直結しているようにも見えますが、調べてみました。
WCが初開催された1979/80シーズン以降、WC個人総合優勝者が当該シーズンのエンゲルベルク大会に出場したのは34人。そのうち、エンゲルベルク大会で優勝したのは18人、表彰台に登壇したのは30人。
すなわち、WC個人総合優勝者の53%がエンゲルベルクで優勝。表彰台に登壇したのは88%。
21世紀に限定すると、WC個人総合優勝者の67%(=14/21)がエンゲルベルクで優勝。表彰台に登壇したのは90%(=19/21)とさらに高い値。
超ざっくりですが、個人総合優勝者の個人戦勝率は30%程度、表彰台登壇率は50%程度ですから、エンゲルベルクでの割合はかなり高い方です。
面白いところでは、2011/12シーズンを制したバーダル。このシーズンは個人戦26試合中わずか3勝でしたが、そのうちの1勝がここエンゲルベルクでした。
個人的な推測ですが、不利な追い風条件になりやすいこと、標高が高く空気密度が小さいため揚力が得られにくいこと等、ジャンパーにとって難しい条件になりやすいこの台で成績を残せるということが、総合力を競うWC個人総合タイトルにも繋がっているのかもしれません。
まとめ
今回は今週末のエンゲルベルク大会のプレビューを書いてみました。
個人的には、
本命 ラニセク
対抗 クバツキ、クラフト
穴 小林陵侑
と予想します。
本命はラニセク。ここエンゲルベルクでは表彰台経験あり、過去2シーズンでTop10に入っており、相性は悪くないはず。今季のジャンプスタイルでは、追い風基調のこの台でもかなり強そうな気がするので、ここでは本命にしました。
対抗はクバツキとクラフト。シーズン序盤から好調の2人ですが、この台ではラニセクの方が1歩リードと予想。
穴候補は陵侑。前の試合で復調の兆しが見えてきたので、得意なこの台でさらに調子が上向いてほしいと期待してます。