本丸のクラブへと
踏み込んだ
何年ぶりであろうか
胸を打ち抜く重低音
タバコの煙りに
染まる部屋の中
何とかまわりに
ついてってます的な
踊りたげ
誰かいかないの?感
独特のふいんきが
立ち尽くすみんなから
溢れているのは
今も昔も変わらない
とりあえず何か飲み物を…
レッドブルと自信無く
カウンター上の写真を
指さした
プッシュ
軽く口づけすると
それを片手に
リズムをとりながら
知り合いを探すかのように
プラプラと店内を歩く
それがセオリーと
いうものだ
もちろん知り合いはいない
気がつけば
立ち尽くし困る
自分に気がつく
これはいかんと
目をつぶり肩を揺らす
いかにノッてます感を
演じる
声かける勇気持たずも
いいオンナを探す
自分がそこにいる
欠ける盛り上がりに
違うハコを覗きに行こうと
後輩に呼ばれた
慌て飲み干そうと
レッドブルを口に傾ける
「持って行けばいいやない」
その通りだ
限られたドリンクチケット
手ぶらになる自分が
恐ろしい
口に含んだ
一口大のブルを缶に吐き戻し
プラプラと下げ歩く
時より大声聞こえる
西通りをビビりながら…
違うクラブへと
辿りついた
後輩の知人が主催して
いるらしく
ドリンク500円
入場料は無料だ
ちょっと小さな優越感
中に入れば
いきなり巨漢のデブが
こっちを睨んでいる
やれやれ
少し街を離れた隙に
この俺もナメられたものだ…
カウンターに並んだ
ラムの角便が俺の目にとまる
人混みを当たり割り歩き
カウンターに近寄る
「コーラトカありますか?」
店違いなブル缶を
ドキドキしながら捨ててもらい
コーラをちぅちぅ
白いデブを逃げ避けるように
ステージへと向かう
あぶない
あぶない
(福田和子風)
ステージでは
似たり寄ったりの坊主頭に
ダボ服のお兄さんが
聞き取れるが
いっそ意味が解らない方がいいかも的
ラップで何か歌っている
「東京から応援にかけつけてくれた○○一緒に盛り上がろうぜ」
「ふぅぅぅ


」(とりあえず)
「世界中のみんながハッピーになりますように」
「いえぇぇ




」(とりあえずまばら)
すり抜ける
ブス真面目のあたる
パイオツさえ嬉しい
前に立つチャンネーの
トリートメント香る
染め痛んだ毛先を
鼻先にくすぐったく感じながら聞く
Jレゲェも悪く無い
ライブは最高潮を迎える
気がつけば
辺りからオンナは消え失せ
汗臭い男だらけに…
飲み残したコーラを
テーブルにソッと置いて
前の店に戻った…
時間は経ち
少し状況は変わる
人間が増え
いい塩梅に男と女が入り混じって踊る
相変わらず
祖国では残念そうな
異国のガイが数人たむろい
その回りを足の短い
キャブ達が
耳元で囁かれては
「うん」ではなく「aha」な感じで受け答えている
勘違いするな
ここは日本だ
何もひけをとることは無い
大日本帝国
いち男子とし
断固戦うまでだ
小さい大和は踊り歩んで
少しずつ外国人と距離を
狭めるように近づいてゆく
腰を掴み
股間を押し当てる
それにお尻を擦り付け
時折振り返っては
アイサインを送る馬鹿女
うらやましぃ

外国人がたむろし
囲われた一帯は
外国の地そのものである
外国にコンプレックスを持つ日本人か
お尻を触られても
ノンノンと軽くあしらう程度
リゾート地ならではの
開放感が生み出されるのか
顔の濃さでは
ひけをとらない…
何とか仲間になれないものか…
小さなオッサン外人
(イミテーション)が
必死に紛れ踊る
戯れるビッチの背中に
近づくと
少し身体を当て打診
さりげなく前に逃げられ
凹む
何が違うのだろう…
珈琲豆を作ってそうな
君のその国籍を
僕に譲ってはもらえないだろうか
腕あげ踊るチャンネーの
腋剃り後が
赤やブルーに
照らされるのを
ただただ見つめる状況となる
「ギャル二人呼んだけん」
でかした相棒

続く…

ローフゥーの




」