ついに私は
姉との再会を果たした

私の緊張を
よそに姉は
意外にもとても普通だった

昔と何も変わらず
「まっちゃん！」と
私を呼び
私は姉を
なんと呼べばいいか分からず
この時から姉のことを
「ネェ」と呼ぶようになった

私達の部屋は
中学生の女子が4人

新しい生活がスタートした

園での生活は
姉もいてくれたおかげで
みんなともすぐに打ち解けた

1番の問題は
学校だった

考えてみれば
保育園や幼稚園にも
ほとんど行けたこともなく

小学校もまともに通えた
記憶はほとんどない
高学年の時にいた施設では
毎日顔を合わせる
一緒に暮らした子だけしか
いない学校

私にとっては
地域の学校に通うことは
初めてに近い感覚だった

入学式は
園の担当の先生に
付き添われて行った

私がこの時感じていたのは
異様な緊張感だった
今まで感じたこのないような
口から心臓が出てきそうだった

そしてそれを
感じるのが嫌で
無理矢理に
なにも感じないように
自分の感情に蓋をした

教室では
みんな同じ小学校から
あがってきた子達が
それぞれ集まって
ワイワイとしていた

1人ポツンと席に座る自分に
さらに不安を感じたのを
覚えている

友達ってどうやって作るんやろ
ずっと1人やったら最悪やな
そんなことを考えながら
私はクラスの誰1人とも
話すことなく
入学式を終えた

正直
新しい学校や生活に
ワクワクすることなんて
なかった

不安だけが
私の中をぐるぐると
駆け巡っていた

第2章-[54]入学