部活の時間、

一貫部である私達の先輩は、高校生の練習に加わっていて、2年である私達が1年生を引っ張っていた。



「廣澤どうした?」

「えっ・・・、別に」

「元気ないね」

「そうでもないよ」



私には廣澤のために、何の力にもなれない。

廣澤を元気付け、笑わせてあげることは出来ない。


・・・けどね、マミなら廣澤の力になれる。

廣澤を笑わせてあげれる。



正直、今本当に2人が別れたのかは分からない。

本人から直接聞いたわけでもない。


だから私は本当なのか、無償に確かめたくなった。

そしてその晩、廣澤にメールした。



「廣澤さ、最近元気ないね

どうしたの?」

「なんで」

「いや、別に何にもないならいいんだけど・・・」

「ないよ」

「そっか

じゃあ、なんかあったら何でも相談乗るよ」



結局聞くことはできなかった。

私にはそんな勇気すらないんだ。


そう、痛感した。




あれから暫くの日が経った。


マミはもう戸田の事を見ていない・・・

とそんな気がした。


“戸田っちかっこいい”


とか言いつつ、彼女の目線は廣澤にいっているような気がしたからだ。

きっと、廣澤のことがすきなんだと思う。



「ねぇ、マミ?」

「なーに」

「本当のこと言ってよ??」

「うん」


「廣澤のこと好きでしょ??」


沈黙が2人を包む。

私はマミの目をじっと見つめた。

“嘘”なんて言わせない



「・・・・うん・・・・」


「そうだと思った~」

「え?」

「今、廣澤もフリーだし、頑張れよ^^」

「ありがとう」



私はマミを応援すると、


そう決めた。



“廣澤さ、智実先輩と別れたらしいよ”


そんな噂が学内に広まった。


“うそだ”


私はマミの話を聞くまで信じられずにいた。


だって廣澤あんなに智実先輩の事好きだったじゃない・・・

智実先輩だって・・・

あんなに私に自慢しておいて今更なによ。


どうして?

どうしてよ


どうしたら別れちゃうのよ




「えりっ!」


数学の展開のあと、マミは私の元へ駆け寄った。


「どうしたー?」


私は数学の教科書をもち立ち止まる。

「大変なのよっ!!」

「何が?」


「ちょっときて!」

「うわぁっ」


マミは私を引っ張ると人気のない場所へ私を連れて行った。


「廣澤と野山(のやま)が数学の時間中に話してるの聞いちゃったんだけど・・・

智実先輩と廣澤、別れたらしいよ」

「え、、」

「智実先輩が振ったらしい・・・

野山が“お前も負け組だ”的なことも言ってたし」


予想外な答え


「だってあの智実先輩だよ!?

廣澤が振るならまだしも、先輩からなんて考えられないよ!」

「うちだって信じられないよ」

「でも・・・」

「事実だと思うから」



マミ・・・

やっぱり廣澤の事好きになるのかな・・・


なんとなく浮かぶこの疑問。



ぶんぶんっ!!



そんな疑問を私は頭から振り払った。