演劇は道具だ (よりみちパン!セ)/宮沢 章夫
¥1,260
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「そうだ、『よりみちパン!セ』を読もう」とふと思い立った今月。やっと読めた。

しかもフラリと入ったBOOK-OFFにて300円で購入した『演劇は道具だ』

 

高校・大学と演劇部演劇サークルに所属していたという、自己紹介の時に言ったもんかそれとも黙っておいた方がいいのか、逡巡せずにはいられない経歴を持つ私だ。

成井豊→野田秀樹→寺山修司→松尾スズキと好みが目まぐるしく変遷した私だ。
通常の書籍よりもなぜか割高な戯曲を買うのに、少ないバイト代を費やした日もあったさ。

 

だったら当然劇作家・宮沢章夫先生もご存知ですよね、と問われれば、すみません寡聞にして存じ上げませんでしたと土下座の構えである。

氏のエッセイは何冊か拝読した。もー、めちゃめちゃ面白かった。大ファン。

何がすごいって、突っ込み方が尋常じゃない。

別に珍しくも何ともないし、我々だって日々目にしている筈の平凡な題材を、鋭利な刃物で両断するかのように突っ込む。突っ込みまくる。いや、もしかして、ボケを被せているのか……?

 

とにかく腹を抱えて笑った記憶しかないのだが、戯曲の方には手を出していないのです。

いや、1冊くらい読んだかも。しかしエッセイを読んだ時のような抱腹絶倒には至らなかった模様。

 

そして「演劇論」である。

学生時代はさぞかしたくさんの演劇論をお読みになられたんでしょうねえ、と言われる前に、私は逃げる。脱兎の如く。1頁たりとも読んでませんので。ピョンピョーン。

 

だってそこには、私なんぞが趣味でやっていた芝居を「そんなもん演劇じゃねえ」と斬って捨てるよな恐ろしい理論が展開されているのでしょう?ヤダ、斬られるの。

こちとら学生劇団の自己満足芝居ですよ、ええ、ええ。

演技とは?なんて偉い人達が考えればいいんですよ、ええ、ええ。

 

考えてみて下さいよ。

例えばあなたは「お腹の痛い人」の役で舞台に立たなくてはならないとする。

さあ、どうしますか?

「お腹痛え」って言いたくないですか?

言わないまでも、しょぼくれた表情で俯き加減にお腹を押さえませんか?

少なくとも、私はそうする。でもね。

 

それじゃダメらしいよ。マジで。

 

怖いわ、演劇の世界。

その深淵よりも、「わかってねえなあ」と言われてしまう事の方が10倍くらい怖いわ。

くわばらくわばら。

 

そんな訳で、演劇論なんてものはこの世に存在しないかのように振舞ってきた半生なのですが、ちょっと魔が差したと云うか、宮沢章夫ならば大丈夫なんじゃないかと云うか、いやいや「よりみちパン!セ」なら子どもも読む訳だし、私が恐れているような辛辣な演技論は書かれていなかろう、なんて極めて逃げ腰の姿勢で挑んだのでした。

 

演劇入門の体を取りながら、結局は「人間理解」をそれとなく目指している感じ。

ああ良かった。バッサリいかれなくて良かった。

宮沢氏自身のワークショップでの課題を用いつつ、「見る」「吸う・吐く」「触れる」「立つ」と云った、我々が普段自律神経に丸投げしているような動作のひとつひとつを、意識するよう促す。

確かにこれなら、演劇に限らず様々な場面で応用が利きそうです。

 

中でも非常に興味深かったのは、「触れる」の項の「(普通じゃない)自己紹介」

「触れる」っつっても所謂スキンシップの事ではなくて、言葉を使いながら如何にして言葉以上に相手を解るか、がテーマ。その状況として、初めて顔を会わせる人々の自己紹介を設定しているのです。

3種類ほど掲載されていてどれも面白かったのだが、未読の方々のために1つだけ教えてあげましょう。

 

うその自己紹介。

 

もう、これだけでワクワクしますよね。

しかもこの嘘って云うのは丸っきり出鱈目ではない。

なるべく本当っぽく、ディテールを作り込めば作り込むほど宜しい。

その上嘘で自己紹介した後、他の参加者から質問タイムが待っている。

それをも嘘で乗り越えろ!相手がクスッときたら勝ちだ!!

 

大嘘吐いて、聞いてる人達に「あれ?本当なのかな?」と思わせる喜び。

信じ込ませるためにはどうしたらいいのか、あれこれ考えながらニヤニヤ笑う瞬間。

 

そうなんですの。

私は嘗て、それをこそ『芝居だ』と思って泣いたり笑ったり激怒したりしてたんですの。

 

でもこの「嘘の自己紹介」結構大変で、例えば格闘技を全く知らない人には「格闘家やってます」なんて嘘、吐けませんよね。つまりその人が吐く嘘には、その人の情報が物凄く反映されてるんだって。だからこそ、嘘の自己紹介なんて突飛なものが成立するとか。

 

7年がかりでやってきた事は、大筋は間違ってはいなかった。

それを心の縁に、より大きくてリアルな嘘を吐けるよう、これからも精進したいと思います。

いつか来るかもしれない「嘘吐き放題」の時間のために。

「明日プール行かない?」好きな人に突然誘われた。行く?行かない?行けない? ブログネタ:「明日プール行かない?」好きな人に突然誘われた。行く?行かない?行けない? 参加中
 
行くべ。普通に。
 
むしろ「行けな~い」とか仰る御仁に異議を申し立てたい。
 
って云うか何?
好きな人が?「明日プール行かない?」って誘ってくれたって?
そんなもん、鴨が葱背負ってやって来たっつーより、既に土鍋に入ってる状態でしょうよ。
 
それをダイエットしてなーいとかムダ毛の処理が覚束なーいとかカワイイ水着持ってなーいなんて理由で断るなんざ……
 
愚の骨頂。
 
そもそもこの設定自体が乙女妄想濃度120%でアレですがね。
いいよいいよ、付き合うよ。私も酔っ払ってるし。
 
仮にこういう事態に直面したとするよね。
で、「(こっちが)もっとベストな状態じゃないと恥ずかしい!」って理由で断るとするよね。
そしたらその男、間違いなく別の女子誘うね。
そして次に会う時はその女子と付き合っているであろう。
しかも新彼女はあなたの知人、ってオチ。
 
いいの?それでいいの?
 
そりゃ、かわいく見られたい(かわいくない自分を見られたくない)気持ちは解るんですけど。
でも、彼が普段見てるのは『ダイエットしてない』状態のアナタなわけですから(´∀`)
プール如きに「ヤバい!」って思った時点で既に手遅れなんですよー。
っつーかここでダイエット云々を言い訳にする輩は、プールデートが来月だろうと来年だろうと、結局「まだダイエット終わってない」って言うような気がする。
 
まあね。
そもそもプール行かない?って誘ってくれた時点で、彼はアナタを憎からず思っている。
太ってて毛ェ生えててダッサい水着着てる、そんなアナタを彼は嫌いではない。
もしその彼が、わざわざ自分からプールに誘って、そこで改めてアナタを査定するようなド阿呆だった場合は、「テメェ人の事品定めする前にそのプニョンプニョンの腹なんとかしてから誘えやあああっ!!!」っつって沈めてやったらいいんですよ。
 
だからみんな、自信持って恋に進もっ!
ピンチはチャンス☆だょ!o(^-^)o
 
……あ、全く心こもってないの、バレました?
 
誘われてときめく相手もいなくなって久しい、そんな酔っ払いがお送りいたしました。
 
お粗末。