わが社にはE子なる一匹狼の女社員がいる。あまり人と関わりをもたず、おとなしい子である。飲み会にも絶対にこない。好きとか嫌いとかではなく、俺の中では静かなるミステリアス。
さて、話は変わるが俺には行きつけの喫茶店がある。ぶっちゃけ客がいない。居たとしても一組だ。恐らくマスターがえらい無愛想だからだろう。しかも場所が非常に分かりづらい。
しかし俺には好都合。
帰宅途中、コーヒーがあまり得意でない俺はそこでバナナジュースを飲みながら王子様のプロポーズ。夢中でルイスを攻略していた。
ルイスのノーマルエンドクリアしたんでアルベルトでもやるか…
とでも思ったか。次はルイスのハッピーエンドだ。
ホワイトデーカードだって金払ってルイスに捧げたんだぞ。ふひっ!
迂闊だった。
「……達也さん?」
「はい?」
背後から声。振り替えればE子ちゃん。
バッと携帯をテーブルに伏せる俺。
俺から目をはなさないE子ちゃん。
地獄である。
俺「…おつかれー」
E子「お疲れ様です」
俺「…」
E子「…」
俺「…見た?」
E子「なにをですか。
乙女ゲーをですか」
イヤアアアアアアアアア!!!!!
なにを思ったかテーブルに突っ伏して笑い出す俺。(必死)
それでも目をはなさないE子。
俺「ひーっひひひひひひ!違うから!誤解だから!!」
E子「なにがですか」
俺「ちがくて!彼女から頼まれて!マジで!ほら、ネタになるし!」※テーブルに突っ伏したまま叫んでます
E子はそれでも目をはなさない。
この子、見透かしてやがる。
なんでかそう思った。
そして俺の頭に響く天使の声。
ルイス“いいんですよ。私のことは。どうか、誤魔化し通してください。本当、私のことはいいですから…”
俺「…嘘です趣味です。変態でごめんなさい」
E子「…」
俺「なんか言って」
E子「…」
俺「どうか罵って」
E子「私の嫁はジョシュアです」
俺「俺の嫁はルイスです」
握手を交わす二人。
冷ややかな目でこちらを見ているマスター。
まさかの、王子様ファンだったE子ちゃん。天は俺を見捨てなかった。
俺「頼むから周りには極秘で」
E子「了解しました」
死ぬかと思った。