こんにちは、相続に強い弁護士の高橋です。
エンディングノートという言葉を聞いたことがありませんか?
エンディングノートとは、
「自分が亡くなったときに備えて、いろんなことを書いておく」
ノートのことです。
本屋にいけば、「遺言書の書き方」を説明した本と同じ場所に
並んでいますよ。
では、遺言書ですが、
遺言書も、「自分が亡くなったときに備えて書く」ものということでは、
エンディングノートと同じです。
ですので、
「エンディングノートって、遺言書のことなの?」
「エンディングノートって、遺言書と何が違うの?」
「エンディングノートを書けば、遺言書はいらないの?」
と考えた方も少なくないのではと思います。
では、遺言書とエンディングノートは、何が違うのでしょうか?
弁護士として法律的な意味で回答すると、
そもそも、
「エンディングノートなのか、または、遺言書なのか?」
という区別自体ができません
という回答になります。
法律の世界では、
「エンディングノートなのか、それとも、遺言書なのか?」
という区別はなく、
「遺言書なのか、または、遺言書ではないのか?」
区別しかありません。
どういうことかというと、遺言書というのは、法律に
「このポイントを全て備えた書類を、遺言書として認めます」
書いてある書類のことを言います。
他方で、「エンディングノート」というのは、
その言葉自体、法律には、どこにも、何も書いてなく、
法律とは全く関係ない書類なのです。
実際の場面に沿って、違いを説明しますね。
前の記事で
「遺言書を銀行に持っていけば、
亡くなった人の預金を解約して
銀行からお金を払ってもらうことができる」
と説明しました。
エンディングノートを銀行に持っていった場合、
そのエンディングノートが
「遺言書」に該当する書き方になっていて、
遺言書としての扱うための裁判所での手続を踏んでいれば、
銀行は、「遺言書を持ってきた」と扱って、
預金を払い戻してくれるし、
そのエンディングノートが
「遺言書」に該当する書き方になっていないか、
遺言書として扱うための裁判所での手続を踏んでいなければ、
銀行は、「遺言書を持ってこなかった」と扱って、
預金を払い戻してくれない
ということです。
ですので、遺言書の書き方さえ知っていれば、
「エンディングノートって何?」
とか、
「エンディングノートって、どう書けばいいの?」
ということは気にしなくてもいいのです。
言い方を変えると、
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「遺言書の書き方」を知っていることが何より大切で、
それを知らずにエンディングノートを書いても、
相続の対策にならないことがある
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ということです。
では、エンディングノーとは不要なのものなのか?
というと、そうではありません。
エンディングノートには、
遺言書にはない、
エンディングノートならではの良いところがあり、
また、
正しく使い方を間違えなければ、とても役に立ちます。
今回は、少し長くなったので、
「エンディングノートのいいところ」
「エンディングノートを正しい利用法」
を別の記事でお伝えしますね。