ぶちぶち日記 -8ページ目

チョコチップ・クッキーは見ていた / ジョアン・フルーク

何かの文庫のあとがきに、おもしろいと書かれていたので予約した記憶があります。 確かに面白かった。 母親から結婚を迫られながらも、独力ではじめたクッキーのお店を生きがいにする女性が、小さな町で起きた殺人の捜査に協力するお話です。 次々に登場するクッキー(レシピ付き)がおいしそうだし、ヒロインは飾り気がなくて好印象だし、彼女に好意を抱く殿方も登場するし、町の人々はおもしろいし。 ヒロインは、魔法のクッキーを土産に人々の秘密を次々に手にしていくのです。 この町には、甘いもの嫌いの人はいないのか(笑) 


しかし正直それだけなので、ふんわりとした好印象以外は心に何も残りません。 重い読書をしたい時には不向き。 ウツな時に気分転換するには最適。 現在5冊ほどシリーズが出ているようですが、図書館にはこの1冊しか登録されていませんでした。 読みたいような、読みたくないような。

音の細道 / 群ようこ

この人の本を読んだのは、15年ぶりくらいかもしれません。 懐かしい。 エッセイが大好きだったのを思い出しました。


音楽に限らず、音にまつわるさまざまなことが語られています。 習っている小唄のこと、ビートルズと北島三郎のこと、かわいそうなポール・モーリアのこと、ピアノのこと、古い家電の雑音のこと、えとせとら。


はじめて読んだころからもう20年以上が経とうというのに、人も文も変わっておらず、なんだかうれしかったのでした。

白蛇教異端審問 / 桐野夏生

作家・桐野夏生の人となりがにじみ出た一冊。 ショート・コラム、日記、エッセイ、書評・映画評、ショート・ストーリー、そして自分に向けられた批評への反論と、実に多彩な構成です。 


いずれの文章からも、個性が立ち昇ってくるのですが、私にはエッセイが一番楽しめました。 子供の頃、喜劇を笑わずに真剣に眺めていたこと(現実の女とコメディの女の違いが知りたかったようです)、中国のトイレ事情から中国人の食を考察するところなど、特に。


反面、批評への反論として書かれた「白蛇教異端審問」には驚きました。 身を削るようにして書いている故か、文面が憤怒の形相です。 反論の内容はもっともだと思いますが、正直なところ、関口氏の批評にも頷けてしまいます。 全文を読んでいないので、その論調はわかりませんが、桐野氏は少し敏感すぎるようにも思えます。 また、自分が理解されていないと感じたら、理解されるまで、作品で相手を納得させるのが小説家ではないかとも思うのです。 


「OUT」を読んだ時、心底驚き喜びました。 すごいミステリだと思いましたが、一方でそのラストは次の「柔らかな頬」の作風に繋がるものを感じたのを思い出します。 その時、桐野夏生は、枠にとらわれない、というより枠を打ち壊して伸びる自由な羽を持つ作家なのだと思いました。 けれど今この一冊を読んで、その作家像が変化したのを感じます。


桐野夏生は、自由ではないのかも。 社会のあらゆる枠の中でも、自分の内にも枠を持つ真面目で律儀な基本性格。 けれど、内なる理想が高く、枠の中では自分を生かしていくことができない。 枠や約束を守ろうとする部分と、高く伸びようとする部分の葛藤。 作品の中でヒロインたちが逸脱していくのが、それを象徴しているように思えてきました。 だとしたら、苦しい戦いだろうな。 その苦しさが、「白蛇~」での反論となったと感じるのは私の独りよがりなのでしょうけれど。


蛇足: 東野圭吾氏が、批評に関して文を寄せています。 冷静でいながら要点を掴んでわかりやすく書かれた文章。 さすがです~。

審判 / 深谷忠記

トリッキー! そりゃないよアンフェアだよ、と前に戻って読み直してみると、ほぼフェアなんですこれが。 私が勝手にそう受け取っただけ。 というより、実に巧みにミスリードされたのでした。 


二十数年前の少女殺害事件で服役した男が、出所後冤罪を主張するHPを立ちあげ、当時の捜査担当者の前に姿をあらわします。 物的証拠が固まっており、有罪を確信している担当者と、事件後心に「鬼」を棲まわせた母親が、彼に翻弄されていきます。 二転三転する物語。 今まで見えていたものが、視点を少しずらしただけで全く別の絵になる驚きを久しぶりに味わいました。 


なのに何故かのれない。 どうも、登場人物たちがおしゃべりすぎるようです。 説明しすぎの感が否めません。 行間から立ち昇るものや、心に染み入ってくる想いのようなものがないのです。 だから、ラストで説明された動機が、頭ではわかっても心が納得できませんでした。 特に、母親の心理描写が圧倒的に足りないと思います。 娘を喪った母親の悲しみが渦巻いていたら、読後感はかなり変わったのではないでしょうか。

破裂 / 久坂部羊

なんともいえない複雑な気持ちで読みました。 医療過誤、裁判、教授選、医者のモラルなどをモチーフに語られる現代版「白い巨塔」といった話です。 その軸のひとつに「高齢者の死に方」とでもいうべきテーマがあり、好悪両方の感情を揺さぶられました。 


プロジェクト名は「天寿」。 ある助教授が研究中の治療法にはある副作用があるのです。 その副作用を逆手にとって、老人の死を計画的に早めて社会の人口構成を変化させる計画です。 別名「PPP」。 ぴんぴんぽっくりの略なのです。 なんて人を食った名前でしょう。


人の生命を計画的に抹消するなんて、ナチスを連想する暴挙です。 しかし、死の恐怖や苦痛、周囲へ迷惑をかけることを考えた時、いわゆる「ぽっくり死」を願わない人はいないでしょう。 老人となった私がこの話をもちかけられたら、乗ってしまうのではないでしょうか。 そういう想いと高齢化社会の問題をこんな風に結びつけたのは、作者の勝利。 このテーマがあるお陰で、「白い巨塔」とはまた違った小説となり得ていると思います。


。。。と、アイデアでは二重丸をつけたいと思いますが、う~ん、なんというか小説としては評価が下がります(えらそう!)。 どこか荒唐無稽な匂いがし、漫画的な印象がつきまとってしまうのが残念でした。 特にプロジェクトの立案者がマンガチックで浮いてしまっていたように思います。 


ラストはちょっとばたばたした感がありますが、全体的にはとてもおもしろく読めました。

楽園のつくりかた / 笹生陽子

かわいげない中学生が主人公です。 私立中学へ通い、自分をエリートコースを生きていく人間だと信じています。 家族や友達を尊重することも知らないくせに、友情は得られて当然だと思っていたりするのです。 ホント、かわいくない。 


父親の田舎へ嫌々引越した彼は、都市と田舎のさまざまなギャップに驚き、憤慨するのですが、なかなか慣れていくことができません。 暖かく迎えられたにも関わらず、小さな溝ができ、次第に大きな亀裂になってしまいます。 そんなときに判明するある事実。 出会い。 


自分が井の中の蛙であることに気付き、周囲の人の心に気付き、成長していく姿はとても好感が持てます。 多かれ少なかれ、こうして人付き合いを覚えてくるものなのでしょう。 今いる場所で生きるすべを覚えるのも。 


当初かわいくなかった主人公が、読んでいるうちに理解が進み、応援したい存在になりました。 ちょっとした意地や見栄が取るつもりのない行動に走らせ、誤解を招くことってありますよね。 彼は、不器用な人物でもあるようです。 


新しい仲間と、新しい環境で彼とクラスメートたちがどんな楽園を作っていくのか、明るい読後でした。

葉唐辛子の佃煮を作ってみた

スーパーの地場野菜のコーナーで、葉とうがらしを発見。 一束180円也。 高いのか安いのかさっぱりわかりませんが、実験クン好きとしては買わないわけにはいきません。 


帰宅後、さっそくググってみました。 結構簡単そうです。 刺激が強くて下ごしらえしているだけで目がシバシバ。 指が熱い。


湯がいて、刻んで、炒めて、味付けしばらく煮込む。 調味料は、炒め油にゴマ油を使い、後は顆粒のかつおだし、砂糖、醤油、酒、みりん。 最後にゴマをたっぷり。 砂糖がちょっと多かったみたいですが、口に入れたときはふんわり甘くて、食べているうちに辛~くなっていく醍醐味を味わうには却って良かったみたいです。 実を入れすぎると辛すぎると読んだので、半分弱を残したのですが、それでも結構辛いです。 それにしても、茹でただけで葉が減っちゃって、出来上がりは片手に載りそうなくらいしかありません。 うまうまに出来ただけに、残念。。。 来年はとうがらしを植えて、いっぱい作ろう!


残った青とうがらしは、醤油に漬けておいておいおい使っていくことにします。 今年はもう、2回も青唐辛子味噌を作ってしまったので。

切れない糸 / 坂木司

ちょっとデジャブな新シリーズです。


クリーニング屋探偵誕生。 といっても日常の謎系だし、本当に推理するのは友達です。 謎と謎解きは面白かったのに、主人公と引きこもり友人の関わり方にひっかかっていた私には、今作のほうが読みやすかったです。 でも、やはりそこはかとなく同じ匂いがするような。 


クリーニング業とはまた、おもしろそうなところに目をつけたものです。 各家庭の事情が見え隠れする洗濯物。 回収・配達でその家まで行くこともできるし、ご近所だからばったり顔を合わせても不自然じゃないし。 商店街の付き合いを書くことで、アットホーム度が高められるし。 逆に顔見知りだらけだから、制約もつけやすいし。


「商店街は本来プロフェッショナルな集団です」という作者のあとがきには大賛成です。 衰退し始めた商店街の近くで育った私は、小説の中のような付き合いを知りません。 体験してみたい反面、うざったそうにも感じます。 主人公が、疎ましく思いつつも次第に良さを知っていく過程には、好感を覚えました。 


せっかくの新シリーズ(決まったわけではないようですけど)なので、今度はあまり感情どっぷりなお話にならないよう、期待しています。

「恐怖の報酬」日記 / 恩田陸

正しくは、「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 イギリス・アイルランド」です。 ながー!


飛行機が怖いんですって。 でも、怖い理由が恩田さんらしくって笑えます。 うらやましいともいえるかな? そんな理由で飛行機が怖い恩田さんだから、あの小説が生み出せるのだなぁ。。。というのが一番の感想です。


私なんぞは飛行機大好き。 目的地へ行くことと同じくらい、飛行機に乗るのが楽しみです。 イタリアへの十数時間も、ぜんぜん苦になりませんでした。 機内食(たとえおいしくなくたって、楽しみ)が何回も食べられて、シアワセなのです。 替われるものなら替わってあげたい!


お酒は、お好きなんですって。 見知らぬ地でも、たいそうご酩酊のご様子です。 うらやましい。 洗面器大のアイリッシュ・シチューを食べ、ナントカを1パイント、ナントカを1パイント、ナントカを・・・ 1パイントってどのくらい? ぐぐってみると、約0.57Lとなっています。 すご。


私もいつか行きたいイギリス・アイルランドの紀行文。 楽しみに読みましたが、恐怖と酩酊と妄想がもわもわと垂れ込めていて、「紀行文」として楽しめる部分は少なかったです。 違う意味で楽しませてもらいました。

ゴーヤー入りピータン豆腐丼

激安のピータンを見つけました。 6個で198円。 7月の来客時に探した時には、4個398円、2個298円とかだったっけ。


殻をむいてみた時点では問題なさそうです。 お豆腐と庭のゴーヤーで丼にしてみましょうー。


  1.好みの豆腐を水切りして冷蔵庫で冷やしておく。


  2.ゴーヤーは薄切りにして塩もみしておく。


  3.ピータンを1cm角くらいに切っておく。


  4.醤油、酢、みりん、ゴマ油を適当に混ぜてタレを作る。


  5.豆腐を手で好みの大きさまで崩し、ゴーヤー、ピータンを加えタレであえ、ご飯にのせて、食べるー!


うまー!
ピータン豆腐は、まったりつるりとおいしいものですが、そこにゴーヤーの苦味が加わると、奥行きのある味になります。 自分なりの薬味を入れてもいいし、キュウリの薄切りなんぞを加えてももおいしいです。 


暑くてガス台なんぞ見たくもないという日にオススメです。