結論から書きますが、ぼくはコリジョン適用が妥当だと思います。そもそも審判はルール通りにやるべきです。だから適用でいいんです。ルールが厳しすぎるかどうかと、あの判定が厳しすぎるかどうかを混同してはダメです。ルールが厳しすぎるからといって運用でいろいろと変えるのは、最悪です。そういうときはルールを是正すべきなだけです。つまり、ルールの見直しなら、必要かもしれませんという見地です。しかし判定自体は至極妥当と考えます。
いろいろ出ている意見についてきちんと自分の意見を持っていますので、↓に書き下しておきたいと思います。
A. 送球がたまたま走路に来ただけ。わざとではない。
(反論1) わざとでなくても、デッドボールはデッドボールです。わざとでなくても、ボークはボークです。同じように、わざとでなくても、コリジョンはコリジョンですよ。
(反論2) もし故意でなければコリジョンは非適用にするというルールにしてしまうと、各チームは「バックホームへの送球はホームベース寄りも少し三塁側に投げろ。そうすればキャッチャーが走路を故意には塞いでいないことになるから」という指示をするでしょう。それはもうルールがルールとして成り立っていないです。正直者がバカを見るルールはあってはなりません。
(反論3) 送球がどのラインに来ても、捕手は前後することによって走路を空けることができます。グラウンドは一次元でなく、二次元に利用することが可能です。鳥じゃないかぎり、3次元は難しいですが(笑)
以上の理由から、「送球がたまたま走路に来ただけ。わざとではない」という意見は棄却でき、コリジョン適用が正となります。
B. 走者が捕手をまったくよけていない。回り込んでスライディングするべき。
まず前提条件として、回り込んでのスライディングはなぜするのでしょうか? ケガしないためでしょうか? いえ、それは二次的な理由で、一番の理由は、回り込んでタッチをかいくぐるほうがセーフになりやすいからです。逆に言えば、タッチをかいくぐる必要がない場面では回り込みません。なぜなら、まっすぐにベースに到達するほうが短時間ででき、短時間でベースに達成するほうがセーフになる確率が高いからです。当たり前ですね^^
上記を念頭に置くと、コリジョンというルールがないのならまだしも、コリジョンというルールがあるのに、回り込んでスライディングする必要はまったくありません。仮に捕手のポジショニングのせいで回り込んだほうがセーフになりそうな場面に直面しても、相手捕手が走路をふさいでいるのはルール違反なのですから、走者は回り込まずに直進し、物理的に妨害されたらコリジョン適用を獲得すればいいのです。それが合理的な考えです。
よって回り込む必要は一切ないわけで、その不要なことをしていないだけで責められるいわれはありません。つまり「走者が捕手をまったくよけていない。回り込んでスライディングするべき」という意見は棄却でき、コリジョン適用が正となります。
C. 走路は2割くらい空いていた。
走路が少し空いていたのに、明らかに捕手のほうに向かってスライディングしたのならば一理ある意見です。しかし、映像を見るかぎり今回の走者は明らかにホームベースに向かってのヘッドスライディングであり、純粋に一番近い走路を選んでいるだけです。よって走者の走路の選定に不備はなく、その走路に捕手がいました。
それに、捕手は捕球前に走者側に向かって左ひざをついてしまいましたからね。ただでさえホームベースよりも三塁側にポジショニングしているのに、あげくにひざをついたので、あれが決定的に走路を塞いだと判断された理由と思われます。
以上から、「走路は2割くらい空いていた」という意見は棄却でき、コリジョン適用が正となります。
(C.はA.やB.に比べて比較的まともな意見ですが、逆に言えば今回の判定を各チームは参考にし、どれくらい走路を開けておけばいいのかよく考察すべきでしょうね。はっきりさせてほしいのならばはっきりさせてほしいとNPB側に意見書で求めればよいでしょう。)
D. あれがコリジョンなら、ホームのクロスプレイはいつも捕手に向かって行えばいいことになる。
これはもう意見ではなくてただの"いちゃもん"なのですが、一応回答しておきます。
もし捕手が走路にいるのなら、そのとおりです。ご名答。その捕手の行為を防ぐことが目的のルールなのですから、そういうときは適用すればいいのです。それが目的達成(捕手が走路を塞ぐ行為を防ぐこと)への近道です。攻撃側としては、そういったルールを有効利用するのは悪いことではありません。もしそういう行為が頻発しても、悪いのはルールを有効利用(悪用ではない)している攻撃側ではありません。走路を塞いでいる守備側です。野球だけではありませんが、ルールは守りましょう^^
もし捕手が走路にいないのなら、的を射ていませんね。走路にいない捕手にタックルしつつ、ホームベースにもタッチしに行くというのは難しすぎますし、ホームベースへより速く到達するという観点からも無駄の多いアクションとなります。有効な作戦とは言えませんね。ひょっとすると「ホームベースへのタッチは不要。捕手にタックルさえすればコリジョン適用となり、セーフなのだから」と考えての意見なのかもしれませんが、それは間違いです。走路にいない捕手に対して何をしても、コリジョンは適用されません。無駄なプロレスごっこに終わるだけです。