いろんな想いを隠して、おめでとうと言った気持ちが伝わっているんだろうか。
きっと君はわかっているんだよね。
そうして試しているのだろうか。
誰よりも幸せな気持ちをくれて、誰よりも苦しませる人。
他にはいない。
そんな時間もあと1年。
君が私を選ばないその日がくるまで。
















Happy Birthday
今の花音を作り上げたいくつもの出来事。

幼稚園の頃。

母は水商売をしていた。
最初は自ら自分達の店を持ちたくて、両親で協力しながら始めたお店。
店はそれなりに繁盛した。
お店が入っているビルの上の階に住んでいた。
階段を歩いていると一升瓶で知らない人に殴られそうになった。
直前で父が来て追い払ってくれたが、あと数秒遅ければ瓶は粉々だったろう。
その時怖い場所だという感情を初めてもったかもしれない。

母に手を引かれて、ある場所へ行った。
そこには、父親が母じゃない女の人といた。
ケンカする父と母。
そんな光景を何度見ただろうか。

花音の人生で幸せだったはじめての出来事。
マイホームで家族三人暮らしたこと。
でも覚えているのは、両親がケンカするたびに押入れの中で耳を塞いでいたこと。
その家に住んでいた期間は凄く短かった。

父が借金をしたからだ。
その頃から、母が働くのは借金を返すためだけになった。
この頃には1度目の両親の離婚があったのだ。

幼かった花音が覚えていることは、楽しかったことよりこんなことばかり。
でも、幸せの欠片があっただけ他の時期よりはよかったのかも知れない。
覚えていることが少ないことも。


 あなたの一番昔の記憶はなんですか?
花音は・・・。
暗い押入れの中で耳をふさぐ花音。
一升瓶を振り下ろされそうになっている花音。
母に手を引かれ父の愛人宅へ向かう花音。
一体どれが一番昔の記憶なんだろうか・・・。
どれも嘘じゃないかと思う。
でもどれもリアル過ぎる。
私の人生の始まりは記憶のあるその辺りなのだろうか?

普通。
花音がずっと憧れていて手に入らないもの。
嘘か真実か。
これが花音が生きてきた道。
多分・・・。