かつて・・昭和の頃・・

アレは一部でボインと称されていた。

大橋巨泉の１１ＰＭで朝丘雪路がそう形容された。

其れが・・女性の胸の双丘に異名が付く切っ掛け。

基本、あれは脂肪と乳腺の塊であるとはいえ

男の９割はたぶんおっぱい星人である。

余人を語るまでも無くのすじいも若き日々・・

其の、母性の象徴に焦がれる哀しきラブハンター。

ただ、小生の思う豊満艶麗は基準が現世の其れより

明らかに７５度はずれまくって居たらしい。

巨乳ちゃんでも背の高い子は駄目・・

全体的にむっちむちで無いと可愛いと思えない。

しかも脳味噌の螺子１本跳んでんじゃね？なくらい

もの知らずの莫迦っ子がまあ、大好きで大好きで。

準備万端、ルートもコースも作戦も万全！

さあ、今夜は熱い夜なんぞ、な昭和の金曜日。

渋いが安い小料理屋のカウンターに連れて行き

此れが美味しんだぞ、と食べさせて・・

其の健啖ぶりと飾らぬ無垢さに興奮してると

店の親父が・・感に堪えたように必ず一言。

～にいちゃん、今夜は土俵入りかね？新弟子さん？～

今なら切り返して何か言ったんだろうが

往時は流石に・・へらっと笑っておんなの横顔眺めてた。

知己の、此れが電信柱みたいな女の子しか好きに成らぬ

ちょいと変わった性癖の奴とも良く遊んだっけ・・

ある夜、此の二人が何故か男独りづつで現れるカウンターバー

「ありゃ、〇△・・先週連れてた彼女は？此れからけえ？」

「・・別れた、と言うよりフラれた・・不慮の事故だ」

「ちょいと年上で、凄く愛されてたじゃね？・・アンタ？」

「ああ、週末・・酔った勢いでアパート連れ込んで・・」

「お！やるじゃねえの・・赫々たるヰタ・セクスアリス」

「・・暗がりで脱がせて床の布団に転がったまでは・・な」

「其処にいきなり悪友の乱入・・とか・・違うわなあ」

「♪パパが来ましたパパが来たぁ・・じゃねえんだっ！」

次の瞬間、奴は人生に絶望したランポーのような貌で言った。

「無いとは思ってた、判ってたんだが・・何せ・・暗がりで・・

　ち、乳、揉んだつもりで・・＝鎖骨＝摘まんでたらしい。」

「在る意味・・ハルマゲドン並みの・・大莫迦だな。」

其の夜、此の莫迦二人は女性の神秘の奥深さに打ちのめされ痛飲

男二人でラブホに泊まり（金なかったから）友情を深めた。

其の半月あまりあと、今度はチビデブ好きの自分の方が

身体に反して大きい少女の乳に幻惑され・・

暗闇の中手探りで、まあ、成りあまり足る処と

成り余らざる処をややこしくする最中・・

乳そのものでは無く・・乳下の肉を愛撫して昂ぶった挙句

「しぇんぱぁい（先輩）・・そこお腹のお肉ぅ・・・」という

哀切の限りな声と同時に、思うっ様下半身の一部を抓（つね）られ

極めて奇々怪々な悶絶を経験したことは・・まあ、蛇足である。

こ、此れって公序良俗に反するかしらっ・・

遠い昭和の、東京の片隅の・・今は何処にも無い恋のはなし。

遠い日の記憶の艶笑譚・・おっぱい星人の述懐