カサンドラ劇場

カサンドラ劇場

行き場のない創作物の救済処。

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後にカサンドラの家族は必死になって娘が飛び込んだ池の中を捜した。然しどういう訳か身体が見付からず、本当に池そのものになったようだったが、それに関して言うならば賢い兄達も首を傾げた。まさか自分達が見ていた幻か何かではないか、と兄は言ったが、流石の両親も納得がいかなかった。彼等はカサンドラが居た部屋を確かめると、そこには大量の紙束が渦高く積まれていた。それはカサンドラが今迄、書き溜めてきた物語だった。居た。カサンドラは居た。確かに自分の家族で、娘だったのだ。両親と兄達は、彼女が遺した物語をとって読んでみた。
そこには、カサンドラが自らに対する罵詈雑言で溢れていた。