どうも。
早いものでもう6月。
今日は、結構前のブログでも紹介した山中音和さんの「ロリータの詩集」について書きたいと思います。
この本は1995年に発行されてまして、えーっと今から22年前ですかね、、そんな時間経ってた??怖い。
瞳が泣くからやその後の少年帝王、十日物語で山中音和先生にやられまくっていた私は連載時からかなり好きだった漫画です。
今でもたまに読み返してしまいます。好きだ。
どんな話かっていうと、、コミックスに書いてた作品解説そのまま抜粋しますね。
橘斎は過去に言葉で人を傷つけてしまった経験から「言葉」に対して強いコンプレックスをもつ少女。だが、交通事故で亡くなった幸村からもらった手帳を燃やしてしまった事をきっかけに「詩」を残そうと決意する。周囲の人との交流の中で、斎は徐々に言葉を取り戻し始め、、、。
待望のOTOWA’Sトゥルーラヴポエム。
ですって。
基本的に淡々と1話完結な話なんですけど、言葉と空気感が凄くいい漫画です。
肝心の詩の部分は個人的にあんまり響かないんですけど物語の中に出てくる言葉がすっごい良い。
それを誰かに知らせたくてこのブログを書いてる訳なんですが、、いざ文字を書き起こしてみたらなんか違うんですよね。
言葉だけ見たら「あれ?そんな良くないかも、、」ってなっちゃうっていうか、、話の前後つけないと凄くショボくなってしまって、、この人の漫画は絵と空白と余韻と言葉全てが揃ってこそなのかもしれないと気づかされました。いや、めっちゃ褒めてる。
うまいこと纏めるのが苦手なので意味不明な言葉のままもうそのままのっけてしまう事にしました。
好きな言葉とかシーンとか赴くままに。
自己満足ですみません。
ちなみにネットで「ロリータの詩集」で検索したらわかりやすくて面白いブログが何件か出て来たので良かったら私の変な記事よりそっちを是非。
この記事書くためにまた何度も読み返してたんですけど、主人公の斎をはじめ、1話に出てくる幸村くん以外の斎に絡んでくる人はみんなどこか周りから浮いた存在、もしくは過去に浮いた存在だった人が多い。そして口も悪い、というかストレートに言葉を出すから浮いた感じになってしまうわけだが。人と人とは器用に付き合えない、だからすれ違ったりぶつかったりする。彼等との会話を通じて斎もまた言葉で自分の思いを形づくっていく過程が面白いです。
結構長い記事になってしまったのでアプリで見てる人は−2くらいの文字の大きさで読んだ方がスクロール少なくて楽だと思います。
poem1 くちづけ
『私は 詩人である
言葉の足りない
詩人でした』
始まってすぐの1コマ目に黒のベタにこの文字が白く浮き上がっているんですけど、ここで既に山中先生に私はやられていたのでした。
橘斎(タチバナユイ)は誰かの心の中に残るのを嫌がる。
写真も日記も手紙も。
誰かに忘れられたりするより、いつまでも覚えられている事を怖がる。
それは彼女の中に忘れたくても忘れられない出来事があるからなのだろう。
『「あたし」がそんな風に残るなんて
それくらいなら忘れてくれた方がいい』
そんな考えの斎を変えるきっかけになった幸村。彼は転校する前に自分の気持ちの書いた鍵付きの日記を渡す。人からの言葉を怖がりつつも受け取る斎。
『‥‥初めてキスした相手は忘れない!お前がオレを忘れてもオレは絶対忘れないから!‥‥‥‥サヨナラ‥‥!」
斎に自分を忘れて欲しくない、自分も彼女を忘れない気持でキスする幸村。この後に交通事故にあって亡くなってしまうのだけどマジそんな展開やめてくれ、、最後の「‥‥ゆ‥」、斎の事を考えて死んでしまったと思うけどほんま山中せんせーーー!!!
彼の気持ちが書かれた日記をアクシデントで燃やしてしまった斎は今迄恐くて消してきた言葉を「残す」事にする。
『あたしはこれからもずっと
言葉に囚われて生きるだろう
言葉に救われて生きるだろう
私は詩人である』
いやいやいや、、すんごい、、(語彙力なくてすみません)すんごいんですよ、、大ゴマとかなくて淡々と進んでいくんですよ。事故のシーンとかもキキーッドンッとかなくて静かに事故して死んでるのがわかっちゃって、、それが余計につらい、、
poem2 マリア
斎はいつもダイエットをしてるモデルのマリアと友達になる。
彼女は斎の高校の教師と付き合っていた。
もう一度会いたいと気持ちを彼に伝えてほしいと頼まれる斎。
『バカかこいつは
こんな奴のどこがよかったんだろう
でもまりあにしかわからないいい所があったんだろうか。
そんな他人にわからないような少しのいい所をまりあはわかってやっていたのに
このバカヤロウが』
まりあの元彼が最低野郎だと知った時の斎の言葉なんですけど普通なら「そんな男やめときな」の展開を「他人にはわからない少しのいい所を彼女はわかっていたのに」ってするとこが良いですよね、、私も女友達が変な男に引っかかったら友達の見る目無さを責めるんじゃなくて相手のクソ度合いを責めようと読んだ時に誓いました。
poem3 雪
『雪みたいに
あたしは冷たい人間だから
あったかいものには近づけない
そーゆー風にできてるんだろう』
『(一人でもへーきだし)
(‥近づけない)
(本当に冷たい奴なのかもしれない)』
幸村の死を知っても悲しい素ぶりを見せない事を彼のことが好きだった同級生に責められる斎。
幸村の死を悲しめない事や自分の事、それを雪の様だと比喩する斎に対しての降矢先輩の言葉が良い。
『「いくらおまえの手が冷たいっていったって雪にはかなわないよ。
雪はあったかいものに敏感だからね。
雪が おまえの手はあたたかいって言ってる」』
『「おまえは雪じゃない。でも 雪みたいな反応する。ホントにあったかいものに敏感だね。橘」』
手のひらで溶けていく雪。
あったかいものに敏感で微かな温もりを感じとれる、そんなやさしいものを「雪」と呼ぶ。降矢先輩のCV絶対櫻井孝宏だと思う。
『雪はやさしい
音も無く
あたしの上に降りてきて
あたしにやさしい言葉をくれた
あたしも雪のようになりたい』
冷たい人間を「雪のようだ」と比喩するんじゃなくて「人の温もりに敏感でやさしい人」を「雪のようだ」と比喩する山中先生にシビレまくりです。
poem4 花
サッカー部の椎名と知り合う斎
『「どっか悪いの?」』
『「‥‥性格が。」』
『「じゃ‥‥あたしと同じか」』
なんかもうちょっとしたやりとりが好きなんです。こういう返しとか日常生活で使おと思って使わないまま22年が経ちました。
『本当の事をいった方がよかったんだろうか?
あんな奴のために
続けていくんだろうか?』
誰かの為に怒るという人間的な面が出てきた斎。
なんだかんだで斎には知り合いが増えていくんですよねー。羨ましい。
poem5 学校民族
「どーしてみんな学校行くんですか?」
「‥‥えーっと‥‥
他に行く所ないから」
「学校ってさなんかキュークツな感じしてみんなあんまり好きじゃないけど
それでもみんな来るでしょ。
ここにくれば何やっていいかわからなくてもとりあえずやる事あるし 誰かいるからひとりにはならない。
居場所が無くて迷ってる人を誰にも文句言わせないようにガードしてくれてるって
みんな知らないうちに知ってるんだよね」
「‥‥じゃ あたしもここにいていーのかな?」
「オレの授業中キミが何考えてるかは勝手だと思うね」
意外な顔して意外な事を言う教師森ちゃん。この「何考えてるかは勝手」の所、めちゃくちゃ好きです。
「あたしもここにいていいのか」の問いに対して答えにはなってない気はしますけど、、
なんていうのかな、、学校にいるからって勉強とか将来のことばっかり考えなくていいんだなって。
全然学校に関係ない事を考えても誰にも責められる事はないんだなーってすっごく心が楽になったんですよ私は。
学校は苦手だったけど、この言葉で救われたところがあります。
頭の中は、何考えたって自由。
『ひとりのようで ひとりじゃないから』
『冷たいコンクリート
かたいイス
時間どおりに鳴るチャイム
「ヒマ人」の居場所はここしかない』
「橘はオレの事 先生ってゆーんだね」
「だって‥‥先生でしょ?」
みんな森ちゃんの事を「先生」と呼ばないのに「先生」と呼ぶ斎。
ちゃんと敬意を払ってる斎の姿勢が好きで私も昔バイト先の店長の事みんなが〇〇ちゃんって呼ぶ中、〇〇さんって敬意を込めて呼んでたらお前のそういうとこ素敵よなって褒められました。漫画読んでて良かった。
あと余談なんですけどこの学校民族の回のアシさんがモブで仙水とか幽助や蔵馬を書き込んでるのが笑えます。何故そんな遊び心出したんだ、、(抜き出してみました)
モブの女の子も隙あらば仙水みたいなホクロをおでこに書くスタイル、、
アシさんなんでや、、
poem6 鎖
『言葉がつながって絡みついてくる
それはだんだん重さを増して
糸なんてもんじゃない
まるで鎖だ』
『あたしと同じく言葉で後悔している
多すぎた言葉が次々とつながって
激しい重みが あのコをがんじがらめにしている』
この話、よくよく考えたら砥上サイテーだしある意味DV彼氏なんだよな、、
好きすぎて彼女に対してキツイ言葉をかけてしまう砥上。もうこれ以上傷つけたくないと思ってるのに。
好きなのに傷つけてしまうってどういう気持ちなんだろうか。
別れても傷つけてしまうけど彼女を楽にさせてやりたいという想いがあるだけ砥上はマシなのかもしれない。
poem7 夕立ち
『渇いた土が水を欲しがって雨を呼ぶ
じゃないと
カサカサしてボロボロになっちゃうから』
『あの子の上には雨が降らないんだろうか
カサで全部 ハネ返してしまうんだろうか』
この文が気になっていたけど小さい時はよく意味がわからなかった。
渇いた土は自分、雨は何かの出来事で自分の心を潤すってことを表現してるんだろうか。
「物事に理屈をつける」性格の河原崎。
物事を理屈で跳ね返してしまう。物事は雨、理屈はカサに例えてそうな斎の一文。
理屈でみんなを跳ね除けてしまうためいつも1人の河原崎。
そんな河原崎も斎と会話して変わっていく。
『昔 酸性雨なんて知らなかった頃
わざわざ雨に濡れて帰っていた頃
子供の頃
戻ってくる
あの頃の水』
頑なにカサをさしていた河原崎が
最後雨に打たれて子供みたいに「‥‥シャワーみたいで気持ちいい‥‥」って言ってるあとの笑ってる顔がいいんですよね。
ハァーちょっと理屈っぽいけど笑うと可愛いくて繊細な思春期の男の子、、もうCV野島健児かな。
poem8 ゴースト
『普通は息をするのは当たり前の事だから
それを外して
生きる事を 考える
仕事とか 夢とか
生きていくのは苦しい事だけど
あんなに呼吸を意識して
生きてる人が
いるだろうか
血と涙と呼吸と鼓動
生まれたての赤ちゃんみたいに
友里はむきだしの命の塊だった』
これ、、これこれこれですよ、、、
むき出しの命の塊、、すごく好きな表現。
私も昔、感情が不安定ですぐ過呼吸になってた時期がありまして過呼吸だから呼吸意識するようになるじゃないですか?その時よくこのフレーズ思い出してました(何の話)
夜の学校でユーリと出会う斎。
2人の病院のキスがなんか綺麗なんですよね、、性的な感じがしなくって、、なんつーか、、語彙力!!!!がない!!!!
ユーリのCVは繊細な入野自由だな。
poem9 鴉
「そんなに珍しいか オレのカッコ」
「‥‥まあね でもケッコーいーよ。似合ってる」
「‥‥ホメられたのは初めてだぜ」
バンドをやっている神原は化粧をしたり制服をきてこなかったりスカートを履いたり「変人」として有名人。
変な目でしか見られてこなかった神原にとっての斎からの言葉。私も褒めよう。
『珍しいとは思うけど
なんだ
みんなが言う程変じゃないじゃない』
珍しい格好=変人じゃない。
人の事なんてその人と話をしなければ何もわからないのだな、と子供ながらに感じた。偏見はやめよう。
「いつまでもフザケたマネしてんなって。そんな事で食ってけるかって。学校行ってると気ィ散っちゃってふやけちまいそーになる。
オレは
死ぬまでの保証なんていらねーのに」
「死ぬまでの保証なんていらねー」という部分!!!!学校じゃ教えてくれないこと!!!
『一瞬こうしてカベをつくる
強がっているのかあきらめているのか
どこかで自分以外をはねつけている
私達は少し似ている
現実的でなくどこか浮いてしまう』
神原と斎が夕焼けの道を歩いてるところのモノローグもいいんですよね、、
『‥‥そうか だからか
だからあんなにはっきりと周りからはぐれてるのか
いい加減のようでいい加減じゃない』
「カラスって言われんのがイヤなの?」
「イメージ悪いじゃんヘタクソって言われてるみたいで」
「カラスってね 目的に向かってまっすぐ飛ぶんだって。‥‥あんたの声ね 変わってるけどけっこういーよ あたし好き」
「‥‥好きだけでいいかなぁ‥‥」
「上等」
「よく考えろ 後悔するぞ
世の中そんなに甘くないんだ」
「‥‥苦くったっていいんです。
グルメじゃないから」
この返し最高です。神原カッコイー。
poem10 手紙
「あんたはへらへら笑ってた方がいいと思うな。あたしみたいにはなれないよ」
『そうすると気まずくなりそうな空気を和ませて周りを安心させる
私にはできない
この人のように周りの人の気持ちまで考える事ができないせいだろうか』
いつもへらへらして皆に合わせてしまう健司。本当は強くなりたいのにひとりになりたくなくて言いなりになってしまう。
斎みたいに強くなりたいという健司に「あんたはあたしみたいになれない」と言うんですけど、斎は斎で健司みたいな性格を羨ましいとも思ってるんですよね。自分がなりたいと思ってる人はもしかしたら自分の様になりたいと思っている人なのかもしれない。人間って面白いなぁ。
poem11 ナイフ
「‥‥やめろよ なんでそーゆー誘導尋問みたいな事すんの?」
「‥‥あんたの傷口が見たい」
「‥‥‥え?」
「わざわざ一人になろうとするのはどうしてなのか知りたい」
「‥‥‥オレの口が悪いのは昔からだ。でも いつも誰かそばにいた ‥‥だからわからなかったんだ オレの言った事で誰がどれだけキズついてたのか」
ナイフで刺されていた中学生のカズキを拾った斎。彼に興味を持った斎は質問を投げかける。
『だからもう人と関わりあうのはやめようと
あたしは黙り込み
この子はますます凶器(ことば)を放った
ひとりでいる方がいいと思うのに』
2人とも誰かを傷つけたくないのに不器用だから傷つけてしまう。近くに寄せ付けたくないのに本当は誰かに側にいてほしい。そんな矛盾した想い。どうすればいいかなんて誰も教えてくれないもんね。自分で傷ついて、傷つけて探っていくしかない。
『一度口に出した言葉は戻らない
あたし達は振り返ってその傷口を見た』
『誰かの手を欲しがってる
あたしでいいかな?』
斎が誰かに手を差し伸べるという、成長。
poem12 髪
「放っといても髪って毎日少しずつのびていくでしょ 1日分の栄養を食べて細胞が吸収して だから髪が毎日のびていくって。
生きてる証明みたいなもんだよね 死んだフリしたってダメだよ」
失語症だった斎。
死んだ様に生きていてもそれは死んではない。生きている。
降矢先輩がカットしてくれるんだけど先輩の設定何歳なの?こんな高校生いねーよ。マジ最高。CV櫻井孝宏でヨロシク。
【私が今まで
ムシし続けてきた毎日を
1日1日吸収し続けてきた私の細胞
1日ごとにキズがだんだん癒えていくように毎日伸びていく髪
生きていた命』
『自分の強さに 初めて気が付いた
‥‥気が付いて よかった』
『もしあの頃
この人に会ってなかったら
今頃どうなってただろうか
強引でやさしくて
私の髪を切り落とし
命の強さを教えてくれた
死にかけのあたしを救ってくれた
この人の言葉はクスリよりもよく効く』
降矢先輩かっこよすぎません???
私にも降矢先輩みたいな人ほしい。
poem13 誘惑
バイク旅行している巴さんと知り合って暫く一緒に住むことになる斎とつぐみ。
「私のやってる事ってただムダに時間を潰してるだけかもしれないって思ったの」
「‥‥なんで?」
「‥‥ゆいちゃんこの家で暮らしてるでしょ?ツグミくんとゆいちゃんの2人しかいない。‥‥‥何かあったかはわからないけど、、
でも逃げないで受け止めたのね。私の時みたいに思いもかけない事が起こってもちゃんと今起きてる事として受け止めてられる だからそんな強そうにみえるんだわ」
「逃げないで受け止める」事の凄さを大人になってから、知った。
この話、デカイ家に斎とつぐみ(兄)だけで住んでるけど家庭環境については全く描写がない。斎の失語症についても全く原因が描かれない。でも、そんなのどうでもいいんだ、、この漫画ではそんなことどうでもいいんだ、、
「まだ知らない場所には何かあるんじゃないかと期待するのよ 宝探しみたいにね 」
「でも見つからないのよ 居心地の悪い所へ行くとここじゃない ここでもないって‥‥‥ずっと逃げてるの」
逃げた先には何があるのかな。
時には逃げたっていい。
「探検家にはなれないけど、、これも逃げかなぁ?」
「‥‥‥宝でしょ?」
最終的に巴さんは大学で人類学を勉強したいという目的を持つのだけど、それを見つける事が出来た巴さんに対して斎の「宝でしょ?」ってクールで痺れる、、すき、、
poem14 非常ベル
『わかる言葉で
いちいち説明しなくちゃわからないなんてバカすぎる
あんなに鳴いていたのに
聞こえなかったんだろうか』
学校で非常ベルを鳴らす境を見つけてしまう斎。
「ガッコーが火事になったらひとりで逃げ切る自信ある?もし逃げ遅れたらさー誰か助けに来てくれる奴いると思う?」
「さぁ どうかな あんたはいいねオトモダチがいっぱいいて」
「オトモダチねぇ、そーいっぱいいるよお?」
「それで試してみたの? ベル」
沢山人がいる中で誰かが鳴いていても気づけるだろうか。こわくて悲しい思いをしている時に誰かが自分に気づいてくれるだろうか。
「多分怖がってるんだよ
あんたと同じだ
ひとりぼっちで もっと近寄ってもいいのか迷ってる
だから逃げないんだ」
誰かを信じる事は怖い。
だけど信じてもいいのかもしれないという希望。踏み出す勇気。
昔の出来事を悔やむ境も、斎との触れ合いでまた変わっていく。
poem15
「‥‥今迄は?今迄の事‥間違ってたって思う?」
「どーかな ゆいちゃんはどう思う?例えば転機があって変われる時 今迄の自分はどう思う?」
「それもきっと‥‥あたしだ それで‥‥あたしなんだよね」
「間違っていた」としても全部「あたし」になっている
【心の中は見えないから
見えないようになってるから見せなくてもいい』
『不思議だ
心の中なんて見えないのに
はっきりじゃないけどわかる
奥の方にある秘密』
「‥‥好きってどーゆー‥‥事?」
「あんまり頭で考える事じゃないけど‥大きく分けて2つある 。
本当の自分をわかってもらいたい人。」
「もうひとつは?」
「ウソでもそばに居たい人。そうしてるのがツラくなる人。自分の‥ボクの‥神サマみたいな人。隠し事が出来なくなる。‥‥会いたい‥‥!ずっと一緒に居たい‥‥ずっと‥‥ずっとこのままで居たいのに‥‥」
森ちゃんの弟のシゲユキさんの話なんですけどこの祈るように告白するとこ好きです。女の子として生きたいシゲユキさん。ずっと好きだった高校の同級生(男)に気持ちを伝えたいけど伝えてしまうと会えなくなってしまうので告白しそうになったら止めてほしいと頼まれる斎。
会いたい、ずっと一緒にいたい、ずっとこのままでいたい。
気持ちを伝えればもう彼には会えない。
「ボクがもしほんとに女の子だったら彼女にでもしてくれたかな?」
「オマエがホントに女だったら?んー、、女だったらねー、、多分オマエの事知らなかったと思うよ。
俺の秘密、一番知ってるのオマエだぜ?」
「‥‥‥男に生まれて来てよかった‥‥‥‥」
間違って男に生まれて来たのといったシゲユキさん。「間違っていた」としても彼の友達になれたのは今迄のシゲユキさんがいたから。
Last poem 魚
『泳げない魚は
海では生きていけない
海より他には行けないのに
どうしてあんな風に泳げないんだろう』
「魚って何で泳いでるんだと思う?ボクらは楽しくて気持ちいーから泳ぐけど 楽しんで泳いでる魚っているのかな?」
「じゃあ何でなの?」
「泳ぐしかないからだよ
そうやって生きていくしかないから
たとえ上手く泳げなくても
泳ぐ事でしか生きられないのを知ってるから 生きるために一生懸命泳いでるんだよ 海から離れたら生きていけない 魚もラクじゃないよね」
みんな必死で生きている、自分ももがきながら必死で生きている、そして生きていくという事を改めて痛感する斎。
正直最終話は「あれ?これで終わりなの?」とちょっと拍子抜けでしたが、なんだんかんだで読んじゃうんですよね。
改めてマンガは文字だけじゃ伝わらない、そして自分のブログクソしょうもない事に気づかされました。
文庫版も発売しているのでもし機会があれば読んでほしい。
文字打つの疲れますね。
じゃあの。