電王戦第四局 Puella α 対 塚田泰明 九段 | 数楽と音学と音楽

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音楽ブログのつもりが数学に侵食されてしまいました・・・。

10時からニコニコ生放送でやって、ところどころ作業しながら見ていました。
5局の団体戦で。ここまでの結果は人間の1勝2敗。
ここで負けると人間側の負け越しになってしまいます。
前局は勝ちが期待できる条件だったのですが、あの激戦を制したのはコンピューターでした。
終盤に十分な持ち時間がないと本当にきついです。
内容については、他のサイトを参照してください。

さて、本局。
先手はコンピュータ、後手が塚田九段。
序盤は相矢倉の出だし。今までの3局と比べまったりした展開で進みました。
先手のPuella αが人間的には無理筋っぽいところから仕掛け、戦いが始まりました。
しかし、この攻めは成立していきなりコンピューターが優位に立ちます。
塚田九段は受けをあきらめて上部脱出を図ります。
途中、押しに押されてある程度の棋力を持った人なら9割は諦めるくらい追い詰められます。
大体3時間くらい苦痛の時間が続きます。
ですが、塚田九段は諦めずに入玉を目指します。

入玉:
敵陣へ王様が避難すること。今回の場合は盤の一番上から一番下に移動すること。
将棋の駒というのは前に向けて攻撃するタイプが多いので、後ろから攻撃はしにくく負けにくくなります。


辛抱に辛抱を重ねて図の局面。塚田9段、唯一の反撃手が出ます。
▽5二金!
ここから展開は少し人間に有利に向かいます。
勝てるという意味ではなく、負けなくなるという意味です。
6二にいた馬を捕獲することが出来て、持将棋成立の可能性が生まれました。

持将棋:
お互いの玉が敵陣に逃げ込んで、お互いに詰みがなくなった時、玉を除いて大駒(飛車、角)を5点、他の駒は1点として数えて、お互いの点数が24点以上なら引き分けという特殊ルールです。


この図面からも、もう少し小競り合いがありますが、なんとか塚田九段が24点を確保して引き分けになりました。

これだけ見ると大したことはないように見えますが、盤面はほぼ負けの状態から引き分けまでに持ち込んだのは実質的な勝利といっても過言ではありません。





将棋の内容から見ればかなりひどい内容で、今までの対局に比べれば見るに耐えないものでした。もう、最後なんてコントみたいに滑稽以外の何者でもありません。
ですが、ですが!負けないために泥試合だろうがなんだろうが意地でも負けないぞという執念の粘りは賞賛に値します。
普段の対局ではあまりみられない展開になりコンピューターが少しおかしい手を指してきてたので、そこから希望の光が生まれました。

これで人間側の成績は1勝2敗1分となりました。
次回の最終局に繋ぎました。
これは見逃せませんね。

ニコ生では木村一基 八段の解説にも救われたかと思います。
面白く解説するのに定評があります。
敗勢の場面では少し怒った感じがしたのが印象的でした。
嗚呼、この人も人間側に勝ってほしいと強く思っていたんだなと予測。
もしくは、腑がない展開に怒っていただけかもしれませんが。
そりゃあ九段といっても、旬が過ぎた棋士である感じは否めませんし、大体の人が勝てるとは思ってなかったかもしれません。でも、負けませんでした。
これは人々の記憶に残る一極となりました。
それくらい凄い戦いでした。
生放送で見るからこそ判る勝負への執念を思い知らされました。
私もここまで粘れるように将棋の研鑽を積みたいと思います。