本当に書こうとしていたのは、こっちの方でした。
稲村公望氏の発言にある「減価償却期間を60年から25年にした」という指摘についてです。
おそらく「60年から25年に」は本当でしょう。
嘘をつく意味がありません。
そして減価償却期間を短縮すれば資産価値が下がり、単年の利益が欠損する(*)というのも会計上常識ですから、これも間違いありません。
従って問題の本質は減価償却期間の短縮の妥当性です。
減価償却は耐用年数と関係がありますが、現在の基準と当時の基準は異なる可能性があるため以前の耐用年数表も調べる必要があります。
建物の材質が分からず難しい部分もあるのですが、写真から判断すると建物のほとんどは鉄筋コンクリートであるように思われますので、そのように仮定して話を進めます。
耐用年数はその建物の材質や用途によって事細かに分類されておりますが、私たちは普段目にすることがなく特にサラリーマンの方は確定申告もしない人が多いためサラリーマンであるマスコミも盲点だったのでしょうか?
そこまで騒ぎになっていないようです。
おそらく自営の方であれば25年というのは見た瞬間におかしいと思ったのではないでしょうか?
用途が旅館・ホテルである鉄筋コンクリートの建物の耐用年数が25年ということはありえないからです。
鉄筋コンクリートで耐用年数25年前後のものは、例えば「塩素、塩酸、硫酸、硝酸その他の著しい腐食性を有する液体又は気体の影響を直接全面的に受けるもの、冷蔵倉庫用のもの(倉庫事業の倉庫用のものを除く)及び放射性同位元素の放射線を直接受けるもの」といった極めて過酷な状況において使われる工場や倉庫などであり、これらと旅館などが同じ耐用年数とは考えられません。
具体的に平成10年3月31日以前に事業を開始した、鉄筋コンクリート作りの旅館・ホテルの耐用年数は木造内装部分の割合によりますが36年または47年で、現在の基準でもそれぞれ31年と39年です。
(現在の基準の参考 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 )
ちなみに60年というのは、例えば住宅や寄宿舎、学校などが以前の基準ではそのようになっております。
民営化に伴い納税義務が生じますので基準の変更自体はおかしいとは言えませんが、25年は極めて疑問です。
(多分…。それとも何か私の知らない基準でもあるのでしょうか?)
つまり、意図的に資産価値を下げ、各年の赤字を増加させたという稲村氏の発言が俄然真実味を帯びてくるのです。
竹中元総務大臣がテレビに出演して一生懸命弁解しておりますが、みなさんは竹中氏の話と稲村氏の話のどっちを信じますか?
竹中氏はテレビに出て世論操作を画策する前に国民に説明してほしい、つまり国会に出頭してもらいたいものです。
*わかりやすく定額法という減価償却の方法で説明します。
(残存価額10%も考慮に入れ書き直しました)
例:1億2000万円の物件を用いて、減価償却分を除き毎年300万円の利益をだしている場合。
case1.耐用年数60年
毎年の償却分:180万円。
10年経過すれば1億2000万-180万円×10年で物件の資産価値は1億200万円。
一方損益計算で言うと償却分の180万円は損失になるわけですから損益トータルはプラス120万円。
case2.耐用年数25年
毎年の償却分:432万円。
10年経過すれば1億2000万-432万円×10年で物件の資産価値は7680万円。
一方損益計算で言うと償却分の432万円は損失になるわけですから損益トータルはマイナス132万円。
ということで、資産価値は下がり、各年の赤字は増加する…と。
家業の関係で確定申告の手伝いしたことがありますから少々はわかるのですが、会計は専門外なので間違ってたらごめんなさい。
(簿記3級ぐらい勉強した方がいいかも…。)