すでに時機を失した感もあるのですが、前回著作権という話が出ましたので、ついでです。
事件(?)は、地デジ普及を目的として創作されたキャラクター「地デジカ」の説明文が『Wikipedia』の「シカ」の説明文を盗用していたというものです。
しかもこの説明文を作成した民放連自身が「地デジカ」の著作権違反には厳しく対処する姿勢を見せていたということで、ネット上などでより厳しい声が上がっているという始末(以上参考 2009/05/07 J-CASTニュース )。
一部報道で無断引用とありますが、引用と盗用は異なります。
著作物の引用について著作権法第32条に記載があります。
著作権法第32条
『公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2
国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。』
曖昧な記載ですが、判例により
『引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならない』(昭和55年3月28日 最高裁第3小法廷
)
とされております。
引用について引用元を明記しなくてはならないというのは著作権法第48条の要請ですが、48条を読むまでもなく「明瞭に区別」するためには引用元を明記すべきです。
実は盗用という言葉は法律にはありません。
引用と盗用は違うと書きましたが、引用は「著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合」であり、盗用は「主従の関係が逆転している場合」と私は考えております。
今回はどちらだったのか、問題個所が削除されてしまった今となっては確認できませんでした。
私は盗用だったのではないか?と勝手に想像しております。
一方で民放連側の「2次的著作物は認められない」、「ブログ掲載は認めない」はどうなのでしょうか?
無断で他人が2次的著作物を創作し発表することは著作権法第27条より禁止されております。
ブログ掲載の場合は、もちろん無断使用(多分複製権、著作権法第21条に反する)は認められませんが、引用の場合はOKなのでは?
と思っております。
一律に「ブログ掲載禁止」は間違いではないかと考えております。
ところで、私もブログ内で様々な法律、判例を引用しておりますが、これらは著作権法第32条2項
『国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。』
により好きなだけ引用できることになっております。
私自身引用には特に気をつけているつもりですが、やはり個人でやっている以上引用元の明示など忘れている個所があるかもしれません。
その時はご了承ください。
(一部漢字を間違えてました。申し訳ございませんでした。)