権力分立と言えば、最初に考えるのが憲法にある三権分立。
司法と行政と立法の三権が互いに独立し牽制し合うことにより、権力が集中することを防ぐという自由主義の要請によるものです。
憲法にはこの三権しかありませんが、私はこの三権の独立を監視する四権目が必要であるという考えを持っております。
建前上も、学説上も行政と立法は分権していることになっておりますが、この国は議院内閣制ですから、実際国会と内閣は一体となっております。
具体的には官僚が上げてきた法案が内閣提出法案として提出され党議拘束をかけられた与党の賛成多数で成立することが平気で行われております。
行政・立法一体以外の何物でもありません。
三権分立を理解しているならば、内閣提出法案に党議拘束をかけるということはしないでしょうし、このことに異論が出ないという点でこの国はまだ近代国家になりきっていないのだろうと思っております。
また、このブログで幾度となく指摘した通り行政の一部である検察と三権の一つを担う司法とは緊張関係がなく、検察が作ったストーリーを司法が追認することが何十年にもわたり行われてきております。
三権一体。
この状態に陥った場合誰がこれを打破するのかという問題が生じます。
ここで四権目が必要となるのです。
本来であれば権力の番人マスコミがこの四権目を担うべきです。
然るにこの国のマスコミは記者クラブなる仲良しクラブを作り、大本営発表を裏も取らず垂れ流すのみ。
それどころか、大新聞の主筆が内閣主催の「安心社会実現会議」にのこのこ出て行く始末。
三権分立はおろか四権一体。
この権力集中に抵抗しようとする個人の言論人がわずかに存在するのみです。
彼らが四権に消されないことを切に祈るばかりです。