派遣の雇い止めの対策について
前に、派遣の雇い止めについて、このブログに書いたことがあります。
http://ameblo.jp/logic--star/entry-10185637139.html
最近、派遣の雇い止め対策について、報道されるようになってきました。
派遣労働の制限をかけようという方向です。
これについて、少しだけコメントしておこうと思います。
派遣労働は、労働者は、派遣会社(派遣元)と契約します。
そして、派遣会社(派遣元)と派遣先との契約により、労働者は派遣先で働くことになります。
派遣先の会社は、なぜ直接社員を雇うのではなく、派遣を活用するのでしょうか。
それは、業務には繁閑があり、今は業績が好調でも、将来は業績が悪くなる可能性があるからです。
わが国のきわめて厳しい解雇制限にもとづく、終身雇用制のもとでは、いったん正社員を雇用すると、解雇することができません。
そこで、忙しいときだけ、派遣社員を活用するわけです。
もっとわかりやすい例をあげると、社員が育児休業をとったときに、その社員の分の仕事をどうするかと考えたときに、そこで新しい人を雇用すると、育児休業から復帰したときに人が余ってしまいます。
そこで、育児休業の期間だけ、派遣を活用するわけです。
こうして考えると、派遣労働を活用すること自体は、悪いことではありません。
問題は、労働者と派遣会社(派遣元)との関係にあります。
派遣労働で考えられていたのは、労働者は派遣会社(派遣元)の正社員として、労働契約を締結しているというかたちです。
派遣会社(派遣元)は、たくさんの労働者をかかえて、必要な派遣先会社に、派遣をする。
派遣がない場合には、派遣会社(派遣元)で労働者はスキルアップのためのトレーニングをする。
それで、派遣労働者は、即戦力として、働くことができるわけです。
派遣先会社は、正社員を雇用するよりも、むしろ高いお金を派遣会社に支払う。
それで、派遣会社(派遣元)は、派遣依頼がない場合でも、労働者に給料を支払うことができるわけです。
しかし、現実には、登録派遣という形態が常態化しています。
すなわち、派遣会社(派遣元)と派遣労働者との関係が、正社員ではなく、契約社員という非正規雇用の関係にあるということです。
派遣自体が非正規ではなく、派遣会社(派遣元)が非正規雇用というかたちをとっているということなのです。
派遣先企業が、直接契約社員を雇用するのではなく、派遣を活用するのは、即戦力としてのスキルと、雇用のための手続きの省力にあるわけです。
いずれにしても、派遣の雇い止めは、派遣労働であるからの問題ではなく、契約社員であるからの問題です。
そうだとすれば、派遣労働自体の制限では解決できないのではないでしょうか。