西松事件の民主党第三者委員会報告とマスコミの反応について | 第6の権力 logic starの逆説

西松事件の民主党第三者委員会報告とマスコミの反応について

平成21年6月10日、西松建設から民主党の小沢一郎代表(当時)側への献金について、民主党の第三者委員会の報告がなされました。

そこでは、マスコミの報道に対する批判がなされているようであり、マスコミもこれに対して反論を掲載しています。

新聞報道でわかる範囲でまとめてみると、第三者委員会のマスコミに対する指摘は

(1)「巨額の違法献金事件」と決めつけ判決確定前に容疑者である秘書を「有罪視」した報道がなされた

(2)西松建設の東北地方における公共工事受注(仮になんらかの問題があったとしてもすでに時候が成立しており刑事事件になりえない)と政治献金が関連しているような印象が過大に強調された報道がなされた

(3)検察サイドの情報を大きく扱い、関係者といった情報源が明示されていない表記で表現した

ということになるようです。


マスコミは、当然、第三者委員会の報告に対して反論し、非難しています。

(A)小沢前代表は公人である

(B)逮捕された秘書が有罪と決めつけるような報道はしていない

(C)政治とカネの問題は報道する責務がある

(D)多方面に取材して複数の証言等から裏付けがとれている

(E)取材源の秘匿の必要性から「関係者」との表現をしている

(F)民主党・小沢サイドが反省すべきであるのにマスコミを批判するのはおかしい

といったことのようです。


しかし、

(A)小沢前代表は国会議員以外に公職についておらず大臣等に比べれば公職度は低く、また、秘書は公職ではないことは明らかであるが、その点をどのように考えたのかマスコミは応えていないのではないか。

(B)たしかに秘書を有罪と決めつけるような表現は微妙に避けているが有罪であるという印象を抱かせるような表現をしているのではないか。

(C)政治とカネの問題を報道すること自体を第三者委員会の報告書は否定しているのではなく、要するに報道が偏っていることを指摘したのであり、それに対してはマスコミは応えていないのではないか。

(D)政府の要職についているわけではない小沢氏には職務権限がないことは明白であるが、それにもかかわらず小沢氏の事務所がどのように談合組織にかかわることになったのか、具体的にどのようにかかわったのかは報道されておらず、「影響力」といったあいまいな表現がなされたのはなぜか。そうした表現が許されるのか。裏付けがとれているのであれば新聞社の責任により「事実」として客観的に報道し、具体的なかかわりを証明して「事実」であると反論すればよいにもかかわらず、そうした態度を示していないのはなぜか。(E)「関係者」では、検察サイドからの情報か否かが明確ではなく、検察サイドの情報ばかり報道したのではないかという懸念が払拭できない。また、検察サイドではないのであれば、それを明確にすべきではなかったのか。そもそも、検察サイドからの非公式情報を報道することは適切なのか。


という疑問が残るように、マスコミが批判に答えたとは言い難いと思われます。

なお、(F)は感情論であり、論評するに値しないでしょう。


検察・警察サイドの情報を大きく扱い、判決確定前に有罪であるかのような印象を与えるような記事を掲載し、本来の事件とは直接関係のない疑惑や過去についても記述するというのは、西松事件に限らず、いつものマスコミの報道姿勢なのではないでしょうか。

それをあえて指摘し、批判したのが、この第三者委員会の報告であったのではないでしょうか。

それは、西松事件において、容疑者が有罪であるか、小沢代表(当時)や民主党に責任があるかどうか、とは別の問題であるはずです。