久しぶりに友人から連絡があった。
僕が東京に来て知り合った数少ない佐賀出身の、しかも同じ年の友人からだ。
しかも、知り合ってある程度たってから分かったのが、彼は僕が高校三年間同じクラスだった同級生の従兄弟だった。
世の中は狭い。
恐らく3-4年振りの連絡だというのに
『久しぶり、元気しとるや?金曜日合コンするけん空けといて!』
相変わらず彼は元気そうだ。
僕の予定や彼女がいるかいないかもお構いなしなのだ。
彼と合コンと云えば、僕には苦い経験がある。
3-4年前、僕は社内の女性とお付き合いをさせてもらって同棲していたが、彼女の希望もあって、僕らが付き合っていることは社内ではショナイにしていた。
とある日、他部署の女性から誰か紹介して欲しいと言われたので、僕はその女性に、僕は男の友人を二人連れてくるので、誰か一人女性の友人を連れてきて、とお願いした。
要するに男3 : 女2という合コン界の黄金比だ。
とりあえず僕は彼女がいるので、みんながワイワイしてるのを横からコーラでも飲みながら楽しませてもらおうと思っていた。
待ち合わせ当日、僕は会社を早くあがり、彼女には
『他部署の◯◯さんに男友達を紹介する合コンに行くから今夜はご飯は大丈夫!』
を出来るだけ事実に沿って、尚且つシンプルに
『友達とご飯食べてくるから今夜はご飯は大丈夫!』
とメールし、その佐賀出身の友人と別の友人と三人で、待ち合わせ場所のお店の前で、女性陣が来るのを待っていた。
別にやましい気持ちはなかったので、彼女に話せば分かってもらえただろうけど、『話せば分かる』で有名な犬養毅さんを殺めた人のように話しても分かってもらえない例もあるので、僕は『話さない』ことにしたのだ。
で、待ち合わせ場所に他部署の女性がもう一人女性を連れて登場したのだが、遠くから歩いてくるのを見て、僕は卒倒しそうになった。
まさかの僕の彼女と歩いて来ているではないですか。
しかも、最高に笑顔だ。
正確に言うと、最高に悪い笑顔だった。
事前に
『因みにカブトムシブルドーザーさんはどんな人がタイプですか?もし、私の友達でそんな子がいたら連れていきます!』
と聞かれた時に
『誰でもいいよ、俺は楽しくご飯が食べれたらいいからさ』
とは言ったけど、まさかドンピシャタイプの人を連れてくるとは…
世の中狭いといえども、狭すぎるだろ。
確かに、他部署の女性からしたら、まさか僕達が付き合ってるとは思ってないからしょうがないけど、なんで彼女を連れてくるのよ…と、本気で呪いたかった。
しかも、彼女は怖いくらいに終始機嫌が良かった…
その機嫌の良さが僕は怖かった。
大好きなはずのコーラが気の抜けたダイエットコーラのように不味く感じられてしょうがなかった。
彼から合コンのお誘いを受け、そんなこともあったなぁ…と思いにふける2013年の師走です。