帰りはラスベガスからサンフランシスコ経由で成田まで。
取り敢えず前日の夜から徹夜組だった僕はラスベガス発の飛行機に乗り込み、機体が滑走路へと動きだした時には眠りの世界の住民になっていた。
因みに眠りの世界では住民税を払っていないので『住民』と呼べる資格があるのかは分からないが…
心地よい眠りの世界から連れ戻されたのは、乗客が頭上の棚から各自荷物を取り出している時だった。
僕は機内ではほとんどの時間を寝て過ごすが、大概機体が着陸する時のタッチダウンの瞬間に目を覚ますことが多いので、『今回は良く眠れたな…』と目を細めながら明るい機外へと降りて、若干焦った…焦ったと同時にワクワクしてしまった。
なんとそこはまだラスベガス空港だった。
どうやら経由地のサンフランシスコの天候が悪く、機体は滑走路へ向かう途中に止まり、飛び立たずにまたゲートまで戻ってきたらしい。
道理で目が覚めなかったわけだ。
時間は既にサンフランシスコへの到着予定時間を過ぎていた。
その時点でもはやサンフランシスコ発の成田行きに乗り継ぐのは不可能な時間だった。
不謹慎ながら僕は嬉しかった。
『これはもう一泊出来るかもしれない…どうせなら、こんな砂漠の街よりサンフランシスコで一泊したいな』と。
これまで何度か飛行機に乗りはしてるが、こういうことは初めてだ。
トランジットする都市で乗り継ぎまで時間があるから一度空港をでることはあっても、そこで宿泊するストップオーバーをしたことが一度もなかった。
その後、結局飛行機はサンフランシスコへ飛んだのだか、航空会社のカウンターへ問い合わせたところ、本日のフライトはもうないから明日の便に振り替えるコトと空港近くのホテルを手配してくれてるコトを伝えられ、一人40ドル分のホテルでの食事券をもらいサンフランシスコ空港をあとにした。
一人旅だろうが、仕事での出張だろうが、やはり旅にはたまにはこういうトラブルがあるのも、いとおかしい。
ホテルに着いた時、僕はすぐにサンフランシスコの街に行こうと決めていた。