珍しく246を渡って桜ヶ丘でランチをしました。
『しぶや区』というお店に行きました。
なんかお客さんがオシャンティな人達が多かった。
お店に入る前から実はお腹が痛くて痛くてトイレに行きたかったんだけど、『大人なので』我慢してました。
上京して来たのは僕が22歳になる年。
当時、僕はお腹が弱くて弱くて生活に支障がでるくらいでした。
移動する時、バスなんて以ての外。
電車も各停のみで急行・特急なんてこの世からなくなればいいのに思っていました。
神奈川県に鎌倉という素敵なエリアがあります。
都内からだと大体一時間くらいでいけて、都会の喧騒を忘れられることもあり、僕はこの街が凄く好きです。
ただ、ほとんどの人が信じられないかもしれないけど、僕は当時日帰りで鎌倉へ行けませんでした…
必ず横浜で一泊してお腹の調子を整えて覚悟を決めて東海道線に乗る、そんな調子なので鎌倉に遊びに行くのは修学旅行のような一大イベントでした。
もっと言うと横浜でさえ日帰りで行くのは苦痛で、横浜のホテルには10数回泊まったことがあります。
特に『中華街でゴハンを食べて帰りたい!』なんて当時の僕には死刑宣告と同じなので、中華街のローズホテルだけでも三回は泊まったことがあります。
アメニティがロクシタンで、いいホテルだったと覚えています。
ある時、友人が『将来不安だよなぁ…おっさんになってリストラされたらタクシーの運ちゃんでもやろうかなぁ…』と話していた頃は、小泉さんの規制緩和の前で都内のタクシーの台車数も今ほど多くなく、タクシーチケットを今より目にしていたそんな時代で、平日でも終電近くだとタクシーが捕まえられなかった頃でした。
なので、タクシーの運転手さんの稼ぎも今よりは多く、近場の行き先だと乗車拒否なんてザラだったように思います。
そんな時代に、友人の話を聞きながら僕は『お腹が弱い自分にはタクシーの運転手なんて絶対ムリだ…リストラされないように頑張らないと…』と思っていました、本気で。
そんな僕が初めてパリに行ったのが23歳の時。
会社の先輩と二人での出張でした。
食事を終え、クラブREXに行こうとオペラの地下鉄駅で電車を待っている時に僕は案の定、お腹が痛くなりました。
僕は先輩に
『すいません、ちょっとお腹が痛いです…先輩はゴハンを食べた後なのに、お腹は大丈夫なんですか?』
と聞いたら
『俺もちょっとトイレ行きたいけど我慢できる…大人だから』
の『大人だから』という一言が11年経った今でも鮮明に覚えているくらい、カッコよく思えました。
『大人』って凄いな…と。
11年経って。
僕は、青春18切符でトイレのない電車に一日7-8時間揺られながら旅するのもヘッチャラなくらいにお腹が強くなっていました。
僕はランチをするお店に入る前、待ち合わせをしている時からもはやお腹が痛かったのにランチを食べ終わり店を出るまで我慢できました。
相手もまさか僕がお腹が痛くて痛くてトイレに行きたいと思っているとは思わなかったであろうくらい、平然とやり過ごせたと思います。
『大人だから』
お店を後にして歩きだした時、不思議とお腹が痛いのはどこかにいってました。
僕はトイレを我慢できたことが嬉しくて、その足で献血をしに向かいました。