6月例会のテーマは、宮沢賢治です。

 

LMN26年の歴史のなかでも、

一人の文学者にスポットを当てた例はなかったのではないでしょうか。

漱石や鴎外だと議論は広がらなかったかもしれませんが、

 

一文学者としてだけでなく、科学者であり、教育者であった宮沢賢治だからこそ、

さまざまな視点で学ぶことができるテーマだったと考えています。

 

講師にお招きしたのは、

児童文学研究者であり、京都華頂大学の准教授でいらっしゃる、

遠藤純先生です。

 

自己紹介でもお話しなさっていたように、

賢治作品が社会的、文学的に受容されていったメカニズムの研究などを

専門とされています。

(これはこれで、また非常に興味深い)

 

生前にはほとんど評価されることのなかった賢治作品ですが、

今日では絵画、絵本、音楽、漫画、映画などと多様なメディアで作品化され続け、

さらには、同一作品が小学校から高校の教科書で取り上げられることは

稀だそうです(遠藤先生談)。

例会のなかでも、参加者の中から、

「大人になって読むと、子どもの時とは違う感じ方、捉え方ができた」

という声があったように、

それぞれの世代で何かが得られる稀有な作家なのかもしれません。

 

遠藤先生のスピーチでは、

・宮沢賢治について

・賢治童話について

・賢治の生きた時代背景について

・それぞれの賢治作品について

わかりやすく楽しく教えていただきました。

 

第2部では、参加者全員に賢治について語っていただき、

賢治の多様な面をみんなで浮き彫りにできたように思います。

 

 

最近、テレビ番組などでも、よく賢治を取り上げられています。

 

とても自由で許容性があるかのようにみえて、

実は窮屈になってきた(ちょっとした発言で炎上したり、

すぐにネットで個人情報がさらされたり)現代社会において、

賢治作品で描かれている、

「食うか、食われるか」の厳しい自然の中でも尊重された、

互いの命、人権、人格の尊厳、敬意といったものが

求められているのかもしれません。

 

 

有志による懇親会では、

遠藤先生を囲み、膝付き合わせる距離で

「風の又三郎」の正体についてや、

小学生も入っている賢治学会についてなどの話をうかがい、

大いに盛り上がりました。

 

(文責:白石)