犀川大橋近くの雨宝院の地蔵様が赤いマスクをしている。雨宝院といえば、寺前に「性に目覚める頃」の一節が文学碑となっている。
気になったので「性に目覚める頃」を読んでみた。犀星は母と死に別れ、この寺(雨宝院)に70歳代の養父の僧侶と一緒に住んでいる。
二つのエピソードがある。一つは賽銭泥棒に来る娘。その盗みの場面を節穴から覗く17歳の犀星は自分だけの秘密として性欲的な興奮を感じる。賽銭が少なくなって来ていることから、ほぼ毎日来る娘が疑われる。それかばうために、犀星は自分の小遣いや養父のお金を、向かいの花売りの店でこわしてもらい(銅銭に両替、大きい金だと不審に思われる)娘の盗みの穴埋めに賽銭箱に入れる。娘が盗むを続けることと父の金に手をつけたことがばれることを恐れた犀星は賽銭箱の中に娘への手紙を書く。それから来なくなった娘の家へ行き、犀星は娘の片方の雪駄を盗むというのが一つのエピソード。もう一つは仲の良い友達が死に、その彼女に恋心を抱くと言う話。ポセイドン・石川さんの「性に目覚める頃」はこの小説をモチーフにしたものなのか?謎である。