7月31日に避暑に訪れた河口湖のリゾートホテルに泊まって、NHKのニュースウォッチ9を見ていると、2019年度全国学力テストの結果が流れてきた。アナウンサーの解説を聞いて、びっくりした。それは、与えられた情報にもとづいて、ある女性を説明する文を書くという問題に対しての正答率である。女性アナウンサーが、「彼女はローマに住んでいます。このことをもとにして英文を書いてください。」と男性アナウンサーに言った。アナウンサーは、いとも簡単に She lives in Rome. と書いた。
こんな簡単な英文は、だれだって書けると思うのは当然である。しかし、中学校3年生の正答率はたった33.7%だった。そして、このテストを受けた生徒たちは、小学校の5年生から英語に親しんでいる世代だ。それが、このありさまなのである。テスト結果を振り返って授業を改善しなければ、学校でおこなう英語教育の時間は、無駄な時間になってしまう。中学校から英語を習った時代の生徒と、比較検証も何かの方法でしなければならない。それが、教育を主管する文部科学省の役割と言ってもよいだろう。また、この結果を現場の教師の責任にするのではなく、文部科学省自らが改善するために原因解明をして、数値目標を掲げて計画を作り、教師と連携して結果をだすようにしなければ、英語を学ぶ子どもはたまったものではない。文部科学省の資料を少し詳しく見ると、大文字で書くところを小文字書いている答えは、3.2%あった。それは33.7%中に含まれている。おまけも含まれた数字で正答率が表示されている。
 もう少し他の問題の答えと正答率を見ると次のようになる。(英文は答えである。)
☆与えられた情報に基づいて、3人称単数現在時制の肯定文を正確に書く
(正答率54.3%)
She is from Australia.           
She comes from Australia.
 
☆与えられた情報に基づいて、一般動詞の3人称単数現在時制の否定文を正確に書く
(正答率38.3%)
She doesn’t have any pets.      
She has no pets.
 
また、英語においての4技能や、他教科の平均正答率は次のようになっている。
(英語)
平均正答率56.5%。聞く68.3%、読む56.2%、書く46.4%、話す30.8
(他教科)
国語73.2%、数学60.3
 
検証をおこない改善されていくと思うが、教育改革でもっとも力を入れている、目玉である英語の平均正答率が、3教科の中で最も低くなっている。また、4技能においては3つの技能で正答率が6割を切っている。
多くの生徒をかかえる指導員の話や私自身の指導経験から、3教科の中で中学校レベルまでなら英語の学習が、手っ取り早く学習効果が上がりやすいと思っている。ゼミなどで学習効果について話し合うと「子どもにとって英語は、3教科の中で一番頭を使わなくてもできる。だから、学習がしやすく成果が表れやすい。」と、幾度も聞かされた。
しかしながら、学力テストの結果を見るとできが一番良くないのが英語である。一体どうすればよいのだろうか。できない理由は、大きく分けると二つに考えられる。一つは、やり方である。そして、二つ目は分量である。これらが適切なのかということから考える必要がある。 ここを切り口にして、子どもに英語力をつけることを考えねばならないが、このような視点はあまりなく、教師に英語力をつけることなどに力を注いでいる気がしてならない。もちろんそれは大切なことだが、二つのことを外してしまうと教える側の英語力がいくら向上しても、思ったような英語力が生徒にはつかない。