大阪府吹田市のエキスポランドでジェットコースターが脱輪、女性1人が死亡、男女19人が重軽傷を負った事故で、現場付近に居合わせた入園者らが「涙が止まらない」「事故の夢を見て眠れない」などの症状を訴えていることが9日、分かった。ジェットコースターの事故としては初の死者を出した惨事に、負傷者以外にも多くの人が精神的ショックを受けたとみられ、専門家は「PTSD(心的外傷後ストレス障害)に進行する危険性もあり、対処が急がれる」と警鐘を鳴らしている。

 病院関係者などによると、目撃者のうち大阪府内の15~22歳の女性11人と男性1人(31)の計12人は、気分が悪くなって病院に搬送された。大声をあげたり涙を流したり、自力で歩けず車いすやストレッチャーで運び込まれた人もいた。

 ある女性は表情がこわばった状態でしゃべることができず、事故の様子を思いだしては涙ぐんだという。別の女性は興奮による過呼吸状態だった。

 病院に搬送された人以外にも、体調不良を訴える人たちは少なくない。

 兵庫県内の女子中学生ら7人は、ジェットコースターの順番待ち中に事故を目撃。事故がなければ次に乗る予定だったという。それだけに精神的ショックは大きく、「事故の夢を見て何度も起きてしまい眠れない」「事故を思いだすと涙が止まらない」などと、学校のスクールカウンセラーなどに相談に訪れている。

 一方、大阪府こころの健康総合センターでは7日から電話相談を始めたが、9日までに8件の相談があった。成人や子供などさまざまで、「夜眠れない」「乗り物が怖い」などと訴えている。

 懸念されるPTSDについて、兵庫県明石市の歩道橋事故でカウンセリングをした臨床心理士、高橋哲さんは、「凄惨(せいさん)な事故を目撃すると、記憶が恐怖とともに呼び起こされる。相談に訪れる人たちは氷山の一角で、多くが苦しんでいる」と話す。

 兵庫教育大の冨永良喜教授(臨床心理学)は、「身近な人が相手(目撃者ら)の気持ちに共感する雰囲気をつくることが大切。1カ月たってもよくならないなら、専門家に相談してほしい」と呼びかける。

(産経新聞)

直前に乗った人、次に乗る予定だった人は特にショックだったと思います。
「もしかしたら自分だったかも…」
この恐怖ははかり知れないでしょう。
1日もはやく回復されることを祈ります。