230328 bjork cornucopia /東京ガーデンシアター

 

当方の知る限りビョークは3回くらい来日公演してて、最初はフジロックで遠かったので行かず、2度目は狭い会場でチケットが四万とか意味のわからない値段だったので行かず、3度目は武道館で迷ったが行かないことにした。

その武道館はだいぶ楽しかったらしくそこそこ後悔した。

なので次来たらいこうかなとか思ってたら来日との情報が。

 

そういうわけで行ってきたのだが、なんというか、そこそこ良かった。

例えるなら上質な伝統芸能を見ている感じ。

クオリティは間違いなく高い。

しかしそれ以上ではない。

 

大きな盛り上がりは一つとしてなくひたすら丁寧なパフォーマンスが続く。

使われている楽器はホルンなどの金管楽器と男女混声合唱などでアタックの強い楽器がほぼほぼない。

一言で言うなら無難なパフォーマンスで、別の角度から言うと、眠い。というたぶん寝た。

会場である東京ガーデンシアターは辺鄙な席であっても音が良いということはアンダーワールドを観に行った時に確認したつもりだったのだが今回のビョークでは妙に音が悪かった。

PAの技術力の差なのか席がダメだったのかはわからない。

チケットは確かA席なのでまあまあいいところのはずだがバルコニー1階の一番奥の席だったので大外れの席だった可能性がある。

というか元の値段が2万くらいでおそらくアリーナであろうS席は5千円くらいしか変わらないのだからこの会場の時はS席を買うべきだったのだ。

 

という個人的な事情はさておき。

 

 

会場の照明が落ちて開演すると最初は緞帳は上がらずしもてから白い服を着た男女が約20名ほど登場して3曲ほど合唱を披露した。

一曲目はなんと「さくらさくら」。

ただしそのまま歌うのではなくビョークのアレンジで不協和音(短2度とか)を多用し不穏な感じだがかっこいい。

続く2曲は知らないがどの曲も日本語だったので日本公演仕様だったと思う。

合唱で始まるのはいかにもビョークらしく(そこが実はピークだったのだが)期待感を上げてくる。

続いてどんちょうが上がりビョークが登場。

微妙に躍りっぽい動きをつけたトランペット隊は背にビョークが歌う。

開幕序盤らしい静かな曲調で会場を静粛な雰囲気にしてくる。

しかしまさかそのまま最後まで行くとは思わなかった。

 

激しい曲は特に登場しなかった。

それどころか十年以上前の曲はほぼほぼ演ぜず。

ヴェスパタインから一曲とイゾベルがあったことはおぼえているが他は新しいアルバムからなのかほぼ知らない曲ばかり。

 

 

思うのだが今も活動する大御所が人気者であり続ける理由は過去に出した曲がカリスマ的だったからであり常にアンセムを更新しているというわけではない。

レディオヘッドで盛り上がるのは主に2000年台前半に出たkidA以前のアルバムだしアンダーワールドも同じく2000円台前半のアルバムまでの曲の方が盛り上がる。

日本でも事情は同じでミスチルで盛り上がるのは多分90年代前半のアルバム(というかシーソーゲームあたり)までだしグレイは恐らくbelovedあたりが最も盛り上がるんじゃないかと思う。

 

要するに観客が聴きたいのは「かつて一世を風靡したあの曲」でありそのアーティストの最新曲ではないのだ。

最新アルバムからの曲は空気感的に必要であっても目当てではない。

もしそういった聴きたい曲がライヴで演奏されないならあまり盛り上がらないと思われる。

というか今日のビョークがそういう感じだった。

 

 

また個人の事情になるが当方が好きなビョークはマークベル(テクノのアーティスト)が作曲していた時まででありマークベルが逝去した後に歌姫として全振りし出した今のビョークにはあまり興味がないのだ。アルバムも買っていないし。

そもそもの話、歌姫とかいってもクオリティに全てを注ぎ込むクラシックアーティストなどには歌唱力では普通に負けるのだ。

 

 

今回の来日では2種類の演目があって一つは古典型(オーケストラ仕様)、もう一つは最新型。

つまり今日見たのは最新型のはずなのだが実際に観た印象はジャワ島あたりの伝統芸能を西洋風にアレンジしたようなものでいうなれば別のタイプの古典型だった。

映像が存在するという点だけは最新型と言えなくはないがたったそれだけで最新を名乗るのって一体どうなんよ。

ビョークというと新しいものが大好きでiPadが出れば積極的に活用し必要となれば新しいデバイスを開発さえしていたのだがどうやらマークベル以降はその方向性に飽きたのか伝統に全振りしている感じがある。

伝統アンチじゃなかったのか。

ビョークが音楽学校に通っていた時は伝統を毛嫌いし校長と何度も口論したらしいがそれから数十年経ち今度は伝統を重んずる側に舵を切ったらしい。

そういうのが聴きたかったわけではないのだが。

当方としてはyogaとかbiophiliaあたりのアルバムからやって欲しかったのだがなかったのでかなり残念だった。

 

そういえば公演のラスト近くでスピーチ映像が流れた。

16歳の少女が何やらアピールしていたが字幕らしきものは読めないし当方のリスニング能力では何を主張しているのかはわからなかった。

だがおそらく政治的なメッセージでウクライナのことか地球を憂える系のことを言っていた気がするけどそういうのはライヴでやんないで欲しい。

純粋にエンターテイメントを見に来ているのだから伝えたいメッセージがあるならマッシヴアタックみたいにエンターテイメントに昇華してからにしてくれ。

 

 

そういうわけで微妙に面白くなかった。

ビョークを見た、という感動はあったがそれだけだった。

当方が観たいエンターテイメントに溢れたビョークはもう観れないのかもしれない。

 

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