春休みも終わり、学校の行事やボランティアに加え、娘のピアノのコンペやリサイタルも年度末の終盤戦でちょっとばかり落ち着かない日々を過ごしています。
アップが遅れてしまいましたが、3月30日にLA Philの演奏を聴きに行きました。
演奏項目は以下に。
Respighi: Trittico botticelliano
Bartok: Suite from The Miraculous Mandarin
Grieg: Piano Concerto in A minor, Op.16
この度はニューヨーク出身の若手コンダクター、James Gaffigan氏が指揮を執りました。
Pre-Concert Eventとして毎回演奏される曲のレクチャーがあるのですが、そのレクチャーにも30分程インタビュー形式でご登場。気さくなユーモアのあるお話にはすっかり吸い込まれてしまいました。
ご自分の経験談の中で、彼は大学に通いながらレストランの厨房でアルバイトをしていたそうです。そこで、食について多くを学び、今も自分で料理をすることが大好きなんだそうです。
そこで、ワインもずいぶんと学ばれたそう。彼の面白い構想は、ワインとのペアリング。食事とワインのペアリングではなく、曲とワインのペアリングなんですって。モーツアルトの何にはどのワインと言ったように。そういわれると、ベートーベンを聞きながら、Sauvignon Blancは合いそうもありませんよね。
イタリアでオペラの指揮をされた時、インターミッションがなんと4時間もあったそう。観客が席に戻ると会場は酒臭い!そして、悲しい悲壮なオペラを歌っているのにも笑い声が聞こえたり等など楽しいエピソードがいっぱいでした。
彼のウエブサイトに入ると彼のブログもあります。ご興味のある方はご覧くださいね。http://jamesgaffigan.com/index.html
まずはOttorino Respighi
出生は1879年、Bologna, Italy。1936年ローマで亡くなられました。
このたびの曲、Trittico botticelliano (演奏時間20分)はタイトルからもおわかりになると思いますが、あのBotticelliの絵画からこの曲を作るヒントを得たそうです。
曲の全体像はオペラを聴いているような美しさでした。この絵画のイメージを頭に描いて聴いていたせいかもしれませんが、清々しさとやさしさに溢れた曲に思えました。
3楽章 Birth of Vinus
そして打って変わってBela Bartokです。
1881年ハンガリーで生まれ、1945年ニューヨークで亡くなられました。
バルトークの後年は大変なご苦労があって、故郷へ帰ることができず、生涯をNYで終わらせてしまったことを思うととても悲しい気持ちになります。すさまじい聴覚を持っていらっしゃったそうで、木の幹に耳をあてると、木の中の虫たちのざわめきまでが聞こえたそう。
そんな彼が作曲したこのThe Miraculous Mandarinはニューヨークのありとあらゆる騒音から始まります。コンクリートジャングルの喧騒と逃亡のシーンを楽器でここまで表せるなんて!と鳥肌立ちながら聴きました。
この曲のバックグランド・ストーリーはちょっと気味が悪いのですが、それもまたバルトークらしい。
ある3人の強盗がNY市中を逃げ回ります。そしてたどり着いたところはRed Light街、いわゆる売春婦がショーウインドウで踊って客を引くところです。
そこである美しい女性をこの3人が誘惑するわけなんですが、この女性はひとりの若いマンダリン人の犯罪者が気に入って彼の前で情熱的に舞を披露します。このマンダリン人は彼女の虜になるのですが、それはあまりにも変質的であり執拗で、彼女は枕で窒息させようと試みたり、錆びたナイフで3度も刺したり、シャンデリアを落として襲ったりしたのですが、緑の目が光るばかりで殺せません。
結局はLove Makingで終結するのですが・・・
とても感情的な音楽でした。なんといっても、オーケストラの奏でる色彩は今まで体験したことのないもので、スリル、悪寒、嘆き満載です。またこの曲の指揮も凄まじかった。若くなかったらできないスタイル!私だったらむち打ちになって、肩の骨がはずれるでしょう。
ご参考までに、ベルリンフィル演奏
The Miraculous Mandarin 1楽章
最後に、Edward Grieg 北欧のショパン
1843年 Bergen, Norwayで生まれ同地で亡くなられました。
この度はあまりにも有名なピアノ協奏曲 A minor, Op.16
完成させたピアノ協奏曲はこの1曲だけなのだそうですね。
25歳で結婚をしたあと休日にデンマークでこの曲を作曲されたそうです。はじめのMotiveが1楽章2楽章と続いていく中、3楽章目にノルウエーのキャラクターが入っているとレクチャーで聞きました。8弦のバイオリン(というかフィドル)を本来使うのだそうですが。
この曲はどなたもご存知でありますでしょうから、シロートの私の説明は止めましょう。
ご参考に第一楽章です。
http://www.youtube.com/watch?v=NF0WaXEf0xM
そして、ピアノの演奏は!!
ピアノ界、横綱級 Andre Watts氏でした。
ご登場からもうオーラ放出で、一昔前のXXX組の会長さんのような威厳というか怖さが。
彼の体格もよろしいですから、出せる音がまた凄まじい。でも、ちっともビンビンした音ではなく、あくまでもふかーい音でしたし、繊細な音はどこまでも細く優雅でした。
しかし、この巨匠たるワッツ氏は45年のキャリア。そこに、若いGaffigan氏の指揮。
はっきりいって、どちらがボスかわかりませんでした、というか、はっきり言ってワッツ氏が指揮者でした。
足踏み(大きな革靴で舞台をドカーンと踏むんですね)でオーケストラが入るところを誘導し、ソロのチェロとの共演ではチェロリストをじっと睨みながらの演奏。また、掛け声も凄まじく、ロックコンサートかと思ったり(笑)。
確かにGaffigan氏は「ワッツ氏との共演はこれで2度目。熟練された方なので、私の交通整理はほとんど要りません。」とも言っていました。
とにかく、またまた素晴らしい一夜でございました。アンコールでワッツ氏がソロをちょっと弾いてくれるだろうかと期待しましたが・・・やはり安売りしませんでした。さすがです。
次のコンサートは明後日です。