※いましばらく精神安定のためにお付き合いくださいm(_ _)m



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『どこも混んでるね』



『週末だからな』



課題を一緒にやるために。空いてるカフェを探していた。テーブルがあって。長居できそうで。電源があれば尚いい



待つのもなぁ...他のエリアに移動するのも面倒だ



『ねぇ。ここにもカフェあるよ』



指差した先に。手書きの看板があった。繁華街からは、だいぶ離れている。矢印が下に向いてるから、地下なんだろう



『のぞいてみる?ダメなら入らなきゃいいし』



そうだな。階段を降りてみる。建物は古いけど、店自体は新しそうだ



『開いてるよね』



看板が出ていても。閉まってるなんてことはよくあるから



『ひっ』



すりガラスの隙間から、様子を伺っていたリョウクが。突然、後ろに飛びずさった



『おい。危ないだろ』



だ、だって...萌え袖に隠れた、震える手で。ドアの方を指し示す。何だってんだよ...



『うげっ!』



いつのまにか。ガラス越しに人影が見えて。ぎょろりとした大きな目と。ばっちり視線が合ってしまった



『に...』



リョウクの腕を引くよりも早く。勢いよくドアが開いた



『いらっしゃい!』



ガタイもでかいが声もでかい。この国らしからぬ濃い顔の割に愛想はいい



『よく来てくれたね!』



さぁ、入って入って。まるで。友だちを家に招いたかのように。その向こうに。ピカピカのバリスタマシンが見えた。あちこちに、コーヒーの香りが染みついている



『ぼ、僕たち。コーヒー、苦手で...』



我ながら下手な言い訳だ



『あ。大丈夫』



紅茶もゆず茶もあるよ。にっこり微笑まれて。失敗か...これ以上、拒否するわけにもいかない。促されるまま、店に入った。テーブル席もあったけど。見えない圧に押されて、カウンターに腰掛ける



『コーヒーが好きで。バリスタの資格をとったんだけどね』



はぁ... 念願の店を構えたはいいけど。立地が悪いのか、なかなかお客さんが来てくれなくてね...凛々しい眉毛を、悲しげに八の字にして。手際よく作業をつづける



『君たちが久しぶりのお客さんなんだ』



よっぽどうれしいんだろう。これ。良かったら食べてて。あ、すみません。小皿で出された、ローストナッツがなかなかおいしい。それからも。マシンの説明とかこの店のこととか。延々と話はつづいて...



課題はもう...あきらめるか...リョウクと顔を見合わせる。どうせならこの状況を楽しんでやろう。そう思って。ナッツを摘んで、口に放りこんだ




《いらっしゃいませ〜》




@Choisiwon

※画像お借りしましたm(_ _)m