《シウォン side》



『何?シウォナ』


いや。何でもない。俺の視線を不審に思ったのか。訝しげに眉を寄せつつ。何だよ、変なの。ぷくっと頬を膨らませて。エアロバイクを漕ぎだした。変なのはお前だ。言っても仕方ないけど


雑誌の撮影で一緒になって。帰りにジムに寄るって話したらついてきて。マネージャーのヒョクチェは、近くのカフェで待機してる


俺のマネージャーの運転で行くことにしたんだけど。暇を持て余したのか、ドンヘがライブ配信をはじめて。後ろの席にいたヒョクチェが、控えめにため息をついた


ひとの車だってのに...断りもなしに配信を始めた自由人には、後で説教するとして。ふと視線をずらすと。ヒョクチェの妙な動きに気づいた。白く細い指が。何度も宙を彷徨う。何だろう...


はぁん...ドンへの配信を、そっと覗いて理解した。ドンヘはフィルターを使って、両手からハートを無限に繰りだしていて。ヒョクチェはそれを回収してるんだ。無意識なのかどうなのか...仕事としたなのか違うのか...次第に口を尖らせていく


何だよ、あれ。かわいすぎだろ。自分のタブレットに集中してるふりをして。横目でずっとそれを眺めていた。配信に夢中になっているドンヘは、もちろん気づかない


こんな楽しいこと


絶対、教えてやるもんか