HK side
台風の当たり年で。朝練も、なかなかできない日が続いた。海も荒れてるから。ちかづかないようにいわれて。ドンへさんにも会えない。つまんないな...
ようやく雨が止んで。久しぶりに、走りに行った。海は。まだ薄暗い色の波が立っていて。いつもの場所でストレッチしいていると。遊泳禁止になってるはずなのに。浜辺が騒がしかった。サイレンの音もする
『何かね。外から来たサーファーが流されて。見回ってたひとが助けに行って。ケガしたんだって』
え...見回ってたひと...きっと...ドンへさんだ!台風明けは、強い波を期待して。無茶するひともいるんだ。決して、乗りやすい波でもないのに...だから見回るんだよ。いつか。そんなことを言ってた
『ちょ...ヒョクチェ!』
呼び止める声を振りきって。近くの病院まで全速力で走った
『ドンへさん!』
ヒョクチェくん。額にガーゼを貼ったドンへさんが。目を丸くしていた。やっぱりドンへさんだ...ぶわっと涙がこみあげる
『け、ケガは...』
ん。ちょっとね...右腕に。包帯がぐるぐると巻かれている。でも...元気そうでよかった。ヒョクチェくん...手招きされて。ベッドに近づく
『泣かないで』
頭をなでてくれる。すぐ治るから。入院もしないですみそうだし。ん...ぐしっと涙をふいた。そうだ...
『お、俺...』
治るまで!ドンへさんの右手になります!なでてくれていた手を。ぎゅっと握りしめる
『何でも言いつけてください!』
一瞬。二重の目を見開いたドンへさんが。すぐ目元を緩めた
『ありがとう』
ありがとう。ヒョクチェくん。頭を抱き寄せられて。そのたくましい腕に、心拍数が爆上がりした
《つづく》
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※きのーの更新です