ドンへ side


ヒョクチェが。インセンティブをもらったからって。ホテルのレストランに連れてってくれた

『誕生日んとき。ご馳走できなかったからさ』

ヒョクチェんちで。デリバリーのピザ食べて。それでもうれしかった

『あ、僕もビール』

何だよ。飲めねぇだろ。でも...せっかくだから...ちょっとだけ。ビールなのに。シャンパン飲むときみたいな、ほそめの背の高いグラスに注がれて

『乾杯』

かちんとグラスをあわせる。ヒョクチェはごくごくと一気飲みして。あー、うめぇ。僕も。ちょっと口をつけたけど。やっぱり...にがぃ...顔をしかめた僕を見て。ヒョクチェがくすくすとわらう

コースの料理はどれもおいしくて。デザートまできれーにたいらげて

『お前、ちょっとそれ寄こせ』

全然、飲んでねぇだろ。ヒョクチェの手には空のグラス。あ...うん...僕のは乾杯のときと、ほとんど変わってない。はぃ。グラスごと差しだすと

『それじゃ乾杯できないだろ』

ちょっとでいーんだよ。え?あ...うん...泡ののこる、空のグラスを受けとる。どーすればいーんだろ...とりあえず、ヒョクチェのグラスにビールをうつして...

『あ!おま!何てことすんだよ!』

え...一気に注いだから。泡だらけになっちゃって。でも...ビールって、そーゆーもんなんじゃないの...?

『しょーがねぇなぁ...』

貸せよ。わけもわからず。ヒョクチェにグラスをわたす。こぼさないよーに。そおっと中身を半分こして

『ほら。もー一回、乾杯しよーぜ』

ん...あらためて。かちんとグラスをあわせる。ヒョクチェ、けっこー酔っぱらってるな...よくわかんないけど...たのしそーだから、まぁいっか...


《つづく》

※意外と、べったべたに甘いヒョクがいないことに気づいた
※本日のラインナップ