ヒョクチェ side
秋夕だけど。今年は俺もドンへも帰省はしないで。昨日は仕事が入ってしまったけど。今日はソンピョンを買ってきて。ドンへがたくさんジョンを焼いて。少しだけマッコリ飲んで
『お月見したぃ』
ドンへはこーゆーことを大切にする。記念日とか。季節の行事とか。瑣末なことでも
ここんとこ続いていた雨が止んで。少し薄雲が流れる空には、きれーな月が浮かんでいた
窓を開けて。少し肌寒かったから。俺のあぐらにドンへを座らせて。毛布にくるまって、ドンへを抱きこむ。なだらかな肩に顎をのっけると、ドンへのあまい匂いがした
まばたきもしないで、空を見上げているから
『願い事でもしたのか』
ん...
『でも...内緒...』
内緒かよ。脇腹をくすぐる。わっ!ひょく!ひゃぁ!身を捩って抵抗する
『ヒョクは?』
願い事した?ん...子どもみたいにアツい身体を抱き直す
言葉にしなくても
たぶん...同じ...
《月に願いを》
※今日は秋夕