『ん?何?俺の顔に、なんかついてる?』

 

テレビで見たことが気になって。ついガン見してしまっていたらしぃ。いや...別に...変なの...

 

どう見ても本人だよな...ここでテレビを見ないのも。外に出ようとしないのも。そーゆーことなのかな...

 

『お前さ...』

 

ん?どこからかゴムひもを調達してきて。トレーニングよろしく、両手で引っ張っている

 

『探してんじゃねぇの?』

 

何を?何をじゃなくてよ...

 

『お前をだよ』

 

俺?きょとんとした顔をして。すぐにあーっと破顔する

 

『バレちゃったかー』

 

舌をぺろっと出して

 

『探してるわけじゃないよ』

 

テレビは他にネタがないから騒いでるだけで。事務所だって。仕事バックれたわけじゃないから。大目に見てくれてるよ

 

そんなもんなのか...

 

『何か疲れちゃってさー』

 

現場と家との往復で。愛想笑いして。やりたくない仕事もしなきゃなんないし。何かあるとすぐ叩かれるし。オフでも休んだ気しないし

 

つまんなくてさー。ふわぁぁ。あくびをしながら、ごろんと寝転んだ。そんなの...

 

『そんなの...みんな同じだろ...』

 

え...何だかムカついた。どーせ顔でちやほやされてるくせに

 

『みんなそーやって生きてんだろ!』

 

たのしーことばっかじゃないし!意味わかんないことで謝んなきゃなんないし!それでも食ってかなきゃなんないし!すきなことなんてできないし!働いたって毎日かつかつで...俺だって...俺だって、すきでバイト三昧してるわけじゃない。学校も行かず。遊びもせず...家には寝にかえるだけで。泣きたくても...もーなみだも出なくなった...

 

『そーだよ!だから...!』

 

突然がばっと起きあがる。二重の目を潤ませて...くちびるを噛みしめて...だから...だから、生きなきゃいーんだって...思ったんだ...

 

 

《つづく》

 

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