ヒョクチェはボクのはじめての恋人です

だからなんでもヒョクチェがはじめてです


ヒョクチェは...どうなんだろ?聞いたことはないけど...ちょっとこわいな...


いままでどうしてたんだろ...恋人って...どうするもんなんだろ...わかんないことばかりで...


一緒にいて...ちゅーして...でもちゅーは...そのたびにボクがてれてたからか、あんまりしてくれなくなって...してもおでことか。ほっぺたとか。もっとしてほしいなんていえないし...自分からなんてますますできません


その先なんて...知識はあるけど...まだちょっと...でもヒョクチェには触れていたくて...触れてほしくて...そーしてないと不安で...



デートともいえない。ただふたりであるいているとき。すれちがうカップルを眺めていて思いついたんです。そうだ!手をつなごう!それならボクからでもできそうでした


『ヒョクチェ!』


ん?ふりむいて。ボクを見てふわっとわらうヒョクチェの目もとがすきで。くっとあがるくちもとがすきで。ヒョクチェの手をそっとつかんで。ぎゅっとして。ヒョクチェがぴたっと立ちどまって。目をまるくして。その目をゆがませて。するっと手を抜くと。ちょっとこまった顔をして。ヒョクチェ?くしゃっとボクのあたまをなでて。またあるきだしてしまいました...


ねぇ...ヒョクチェ...だめだった...?


恋人なのに...だめだった...?



いくら考えてももやもやが晴れなくて。晴れないどころかむくむくふえていって。どんどんヒョクチェがとおくなる気がして...いつもよりぼやぼやしてたかもしれません。あ、ヒョクチェだ。待ちあわせにはまだ時間があったけど。ヒョクチェのすがたを見かけて。かけよろーとして。ヒョクチェがひとりじゃないことに気づきました。ヒョクチェのとなりにはしらないオンナの子...おっきな荷物をもってたから。手伝ってあげたのかもしれません。ヒョクチェはやさしいから。そう。ヒョクチェはやさしいんです。誰にだって...


その子に向けられた笑顔を見て。心臓がはねました


あんなあったかい笑顔...ボクは最近...見てない...



《つづく》


※きのーの最終更新です