『それで...』


何かおもいだしたのか?その問いに俺は首をふる。久しぶりにジョンウンさんの事務所にきていて。あれからカメラに手をのばすこともなかったんだけど。やっぱりここにいると撮りたくなる


ヒニムには会っていなかった。会ったら何か変わるかな?でも...ムリに会わなくても俺たちは...俺たちなら...


『くるしいか...?』


ううん...不思議なほどおちついている。毎日。いままでとかわらずに


ごめんな...ドンへ...


突然、ジョンウンさんにだきしめられた


『俺のせぃだ』


俺のせいでお前が...


『ジョンウン、やめろ!』


ヒニム?とびこんできたのは血相をかえたヒニムで


でもヒョン!お前のせーじゃない!だって!


《やめて!》


自分が発してもいない声があたまにひびく。どくん。くらっとした。目の裏にモノクロのフィルムがながれる。コマ送りの。そーだ。あのときも。こんなふーに...ふたりが...


たおれかけたところをヒニムにだきとめられた。ドンへ!


そーだ。この手だ。このぬくもりだ


俺をみちびいてくれたのは...


どーして俺は...


わすれてしまったんだろぅ...


にに...ことばの前になみだがあふれた


ドンへ...



《つづく》


※本日のラインナップ