『たまごたべる?』

 

まだ発車のベルもならないのに。都合がつかなくてソルラルにかえれなかったから。春を前に、ドンヘの故郷に行くためにKTXに乗った

 

一年ぶりかな。ドンへは二、三日前からウキウキして。皿を二枚も割った

 

やっぱりみかんにしよー。ビニール袋をがさごそしだしたドンへを見つめながら、はじめてこの列車に乗ったときのことをおもいだした。ひとりで

 

 

『なんでそんなことゆーの?』

 

そのときドンへは泣いた。ともだちなのに。なんでって?お前のことがすきだからだ。自分でもわけわかんないくらぃ

 

たぶん一目惚れだった。ともだちとしてとなりにいるうちに気づいた。これは恋だと

 

側にいるだけでよかった。はずだった。無邪気な笑顔が。俺の名前をよぶちょっと鼻にかかったその声が。俺の腕をつかむその手のアツさが。堪らなく俺を煽った

 

俺は自分を呪った。欲にまみれた目でドンへを見てしまう自分自身を

 

腹ん中にどすぐろぃものをうずまかせたまま、ドンへとすごすのがだんだんつらくなっていった

 

こわかったんだ。いつか...ドンへを傷つけてしまうんじゃないかって...

 

だから俺はドンへに告白した。もしかしたらドンへも...と期待しなかったわけじゃなかった。でもドンへからの返答はなかった。ぐずぐずとしゃくりあげるドンへをだきしめるしかできなくて...もーすこし時間をかけよう。そーおもっていたのに...ドンへは逃げるよーに木浦にかえってしまった。だからってあきらめられなかった。俺はその足で木浦行きの電車に飛び乗った

 

そしていま。ドンへは俺のとなりにいる

 

ヒョクチェ?ん?はぃ。みかんの房を俺の前に差し出す。とゆーか口の中に押しこむ。ん...ありがと。お礼とばかりにその指先をちゅっとすって。へへ。頬をほんのりそめるドンへのあたまをだきしめた

 

 

《つづく》

 

 

※ウネがただうねうねするだけの話しじゃなかったのか...

※きのーの最終更新です『⁂ SJ劇場 仮名手本一条大蔵譚 ねノ巻 ⁂』『⁂ SJ劇場 仮名手本一条大蔵譚 つノ巻 ⁂』『⁂ SJ劇場 仮名手本一条大蔵譚 そノ巻 ⁂』『⁂ SJ劇場 仮名手本一条大蔵譚 れノ巻 ⁂』『⁂ SJ劇場…リンクameblo.jp