『身体、ふいてあげるよ』
さっぱりするよ。え...
『いーよ...自分でやるよ...』
ふふ。てれるなよ。毎日やってたし。毎日!?それに...ゆっただろ。恋人だって。ヒョクチェの身体ならほくろの数だってしってるよ。ほ、ほくろ!?
『か、からかうなよっ』
ドンへが用意してくれたホットタオルをひったくる。出てけよ!
『ごめん...』
ドンへが急に真面目な顔になる。俺...うれしくて...え...ヒョクチェとこーしてまた話せることが...わらいあえることが...俺の名前をよんでくれることが...ドンへ...
『はずかしーなら...背中だけ...ね?』
とどかないだろ。あ...うん...向こうむいて。シャツぬいで。ん...ドンへに背中をむける。熱くない?うん。大丈夫。ゆっくりと丁寧に。隅々まで
あたらしーシャツにきがえて。うまくとめられなかったボタンをなおしてくれたりして。きれーに整えられたその指先を見ながら。恋人だとしたら...この指が俺にふれたこともあるんだよな。指だけじゃなくて、くちびるだって。さっきみたいに..
ヒョクチェ、どしたの?顔あかいけど...熱でもある?
『な、なんでもなぃっ!』
何かんがえてんだよ!俺!
はぁ、なんかつかれたな...いろいろありすぎて...
『俺...寝るから...お前、もー帰れよ』
いつのまにか窓の外はまっくらだ。時間の感覚がまだよくわからない。つかれた?ドンへがカーテンをしめる。ひとりでだいじょぶ?大丈夫だよ。こどもじゃあるまいし。寝るなら電気ちーさくしとくね。ん、ありがと
『寝つけないよーだったら、看護師さんにゆえば睡眠薬出してくれるって』
先にもらっとく?そんなんいらねーよ。そんなもんのんで、もし...
背筋がぞくりとした
もし...また...目が覚めなかったら...
もし...もし...これが...夢だったら...
急に身体がガタガタとふるえだした。ド、ドンへ...お、俺...ヒョクチェ...だいじょぶだよ。お、俺...も、もし...ヒョクチェ...俺がそばにいるから。ドンへ...
しがみつく俺を包んで、そっと背中をなでてくれる。目ぇつむって...呼吸を俺にあわせて...すぅ...ふぅ...そ...ゆっくり...
ぬくもりが。鼓動が。ふたりの間で溶けてゆく。徐々にこころが凪いでいくのがわかった
《つづく》
※本日のラインナップ