これは 覚えています。
図書館の貸し出しカウンターの背後に予約された本が並んでいるんですが、その中から背表紙のタイトルにひかれて その場で調べ、予約したものです。

もし明日、急に重い病気になったら――
見えない未来に立ち向かうすべての人に。

哲学者と人類学者の間で交わされる「病」をめぐる言葉の全力投球。 共に人生の軌跡を刻んで生きることへの覚悟とは。 信頼と約束とそして勇気の物語。

もし、あなたが重病に罹り、残り僅かの命言われたら、どのように死と向き合い、人生を歩みますか? もし、あなたが死に向き合う人と出会ったら、あなたはその人と何を語り、どんな関係を築きますか?

がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が、死と生、別れと出会い、そして出会いを新たな始まりに変えることを巡り、20年の学問キャリアと互いの人生を賭けて交わした20通の往復書簡。


出版元の紹介文が これです。

著者の一人 宮野真生子さんは 2011年、乳がんで右胸全摘、その後、肝臓への転移再発が見つかり … 2019年、この本の出版を見届けることなく 亡くなっています。

哲学者と人類学者の往復書簡ですので、難解でした。
途中、何度もスマホで言葉を検索しましたし、文章を音読しました。← その方が頭に入ってきやすい … 私だけ?

彼女たちに そんなつもりはないのでしょうが、学術的なことを書いているのでなくても難解なんですよ(笑)。

その上、著者の一人は この先「 死 」を迎えることがわかっているのですから、途中から 読んでいて しんどくなっちゃうんですよね。



昨年 秋に 実母が左胸全摘をしましたが、薄情な娘は「 え〜、85でも手術するんだ! 」と思っていました。

実際は、若い人の場合とは 色々 治療のための段取りや方針は違っていましたが、医学の進歩に驚かされたものです。

術後の薬を「 いつまで飲めばいいのか 」と問うた母に
「 最低5年 」と主治医は答えたのですが
それはもう一生 … だって、5年したら90じゃん!と娘は思いましたよ。



宮野さんは享年42歳。余りに早い別れです。

最後に、彼女と同じレベルで語り合える出会いがあったことは僥倖だな … と思います。