真夏の空の下、突然口から飛び出した僕の言葉に、手塚はいつものように表情を崩すことなくこう言ってのけた。
chotamani_ax: 『親友としてならもう十分に間に合っている、だが、恋人としてなら先着1名まで募集中だ』と。この、手塚の彼らしくない、おそらく自分としては最大限のジョークによって僕は思わず言葉をなくした。
僕が手塚に告白をしたのは、中学校3年の夏だった。といっても、告白をしようと決めた日よりずいぶん前に、想いが先に飛び出して、結果として両想いになれたのだけれどシナリオ通りにはいかないのが僕たちの恋愛だった。
手塚は、ある有名なコーチにスカウトされて、中学卒業と同時にアメリカへ渡ることが決まっていた。その前に、僕たち3年生は全国大会で部を引退することが決まっていた。
部を引退すれば、顔を合わせることも少なくなるだろう。だから、告白するならそのタイミング、と自分の中で決めていた。言わないまま手塚を見送りあきらめることも考えたのだけれど、それでは想いを昇華できないと自分でもわかっていたからだ。
けれどアクシデントがあった。関東大会の初戦、手塚は跡部との長い試合で肩を痛め、九州という遠いところへ治療に行くことになってしまったのだ。
毎日のように顔を合わせていた彼と、遠く離れてしまう。いつまた合えるかもわからない----そんな現実が、僕野中の衝動を突き動かした。
テニスコート。これが手塚がいる最後の練習。部内での紅白戦で皆コートに入っている。試合を終えてテニスコートのベンチに戻った僕はたまたま手塚と二人きりになってしまった。そこで言葉が飛び出した「僕、手塚が好きなんだ。」
告白した日のことを回想してる不二>ふと現実にかえる、手塚と二人で暮らすはずの部屋は、いまはひとりぼっちなんだ。
そこに電話がかかってきてアメリカからの国際電話で、僕はたったそれだけでまた幸せな気持ちで彼の帰国を待つことができるのだ。
