僕は犬。
一匹の犬。

もしも、いま、ここで。
あの、幼ごころの君に出会えたら。
あの頃の黒髪の、優しい声の、生まれたばかりの、歩き始めたばかりの、あの無垢なる君に出会えたら。

僕はきっと、あの頃のように。
目には見えない大きなしっぽを振りながら、
君と姉君の前で、もう一度、
永遠の忠誠と共に頭を垂れるだろう。

何も変わらない。
何も変わらないんだ。


会いたいなあ。