ジュリエットのカミーユ | あんなことこんなこと〜日々のこと.Part2(アラフィフからの再婚と田舎暮らし

あんなことこんなこと〜日々のこと.Part2(アラフィフからの再婚と田舎暮らし

アラフィフで再婚。生まれ育った東京を46歳で離れて田舎暮らし。自然に囲まれた地方の大量に飛散する環境(臓器草花花粉真菌昆虫成分PM2.5など)アレルゲンに通年さらされ、一年後に複数重度の食アレも発症。アレルギー除去生活なども綴ります。

タイトルなんのこっちゃ?

ですが、WOWOWで放送していたジュリエットビノシェのカミーユクローデル「ある天才彫刻家の悲劇」の事です。

録画していたのを、たった今ようやく観ました。


これめちゃ秀逸!


施設で過ごした晩年の記録はほとんどなく、それをここまで繊細に綴るなんて、ジュリエットってやっぱり凄い女優さんだ~。


静止画のような画面には、ジュリエットのアップだけが映されています。

ふっと、不安気に、また優しげに遠くを漂う視線…

やがてジュリエットの表情が、少しずつ静かに変わっていく。

表情だけの演技で、今カミーユが懐古している頭の中のストーリーを見る側にはっきり語っていて、鳥肌です。


才能と孤独がカミーユの精神を蝕んだ。

と思われがちですが、実際はもともとかなり振り切った気質で、この悪い側面が孤高な創作作業のストレスにより徐々に悪化し、手がつけられなくなったんでしょう。

紙一重ゆえ、こその天才なんですよね。


ポールクローデル曰く"暴君だった姉"の全盛期から狂人になるまでを描いたイザベルアジャーニの「カミーユクローデル」は、激しさゆえ狂気に落ちてゆく様が壮絶で、見ていて胸が苦しくなりました。イザベルアジャーニ可愛いし。。。


イザベル版は、激しさゆえの切なさ。

ジュリエット版は、静寂ゆえの切なさ。


若い頃と晩年。

セットで観るとなお深みが増しておすすめです。


それにしてもジュリエット版のカミーユのこの独特で繊細な世界観は、ポールクローデルの回顧録と詩のイメージを丁寧に忠実になぞったのかな、と思いました。

この姉弟は幼い時からとても仲が良く、お互いに芸術気質で気があったようです。で、幼い時から遠くオリエンタルな日本に憧れ、いつか行こう!と夢見ていたんだそう。

ポールは1921年から1927年まで駐日フランス大使を勤めています。

弟は念願叶い、日本の素晴らしさに感銘を受けたようで、書籍を見てもめっちゃくちゃ日本贔屓なのが分かりす。

一方の姉は夢果せずでしたが、代わりに彼女の作品が見事来日を果たします。

以来、カミーユクローデルは日本人女性の心を鷲掴みにしています。


本当にこの姉弟は、姉弟は、姉弟は…号泣。


カミーユだけではなく、詩人であり外交官だったポールクローデルの本も読み直したくなっちゃったわ。

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カミーユの本は初版1989年。
読み終えた日付をつけるヘキがありますが、見ると私は1991年に読み終えてました。

で、このポールの本はぜひぜひ、広く読んでいただきたいお勧め本です。

当時、ポールクローデルの詩集を探していたんですが、在庫がなかったんだ。と思い出しました。

今ならAmazonで見つかるかも。

たまにはクローデル姉弟の本を開いて、芸術気質のフリして、ゆっくり"孤独の世界"に浸ろうっと。





あっパーしつこく余談ですがあせる

日本の彫刻家禄山は、パリ留学中にロダンの影響を受け、画家から彫刻家へと転身。『女』という傑作を残しました。

が、この作風やデティールはロダンの力強い男性的な作品より遥かにデリケートで、むしろカミーユクローデルの情緒豊かで繊細なタッチに近い。

というか、彼女の代表作の『分別盛り』の『懇願する女』とポーズや構図がよく似ています。

禄山が感銘と衝撃を受けたのは、ロダンてまはく実はカミーユの作品だったのではないのか。

そんな説もあり、作品を見比べると確かに…でこの説に一票。

同じ時代に生きた天才彫刻家のオーギュストロダン、萩原禄山、そしてカミーユクローデル。

時代と国を超え多くの人の心を虜にする独特な容姿、作品の細部にまでその個性が反映される激しい気質、狂気に落ちるほど溢れた才能を持ち合わせたカミーユが軍を抜いて、最強の天才彫刻家だと、私は思います。


ついつい熱く語ってしまいました。
てへ。





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