タイトルなんのこっちゃ?
ですが、WOWOWで放送していたジュリエットビノシェのカミーユクローデル「ある天才彫刻家の悲劇」の事です。
録画していたのを、たった今ようやく観ました。
これめちゃ秀逸!
施設で過ごした晩年の記録はほとんどなく、それをここまで繊細に綴るなんて、ジュリエットってやっぱり凄い女優さんだ~。
静止画のような画面には、ジュリエットのアップだけが映されています。
ふっと、不安気に、また優しげに遠くを漂う視線…
やがてジュリエットの表情が、少しずつ静かに変わっていく。
表情だけの演技で、今カミーユが懐古している頭の中のストーリーを見る側にはっきり語っていて、鳥肌です。
才能と孤独がカミーユの精神を蝕んだ。
と思われがちですが、実際はもともとかなり振り切った気質で、この悪い側面が孤高な創作作業のストレスにより徐々に悪化し、手がつけられなくなったんでしょう。
紙一重ゆえ、こその天才なんですよね。
ポールクローデル曰く"暴君だった姉"の全盛期から狂人になるまでを描いたイザベルアジャーニの「カミーユクローデル」は、激しさゆえ狂気に落ちてゆく様が壮絶で、見ていて胸が苦しくなりました。イザベルアジャーニ可愛いし。。。
イザベル版は、激しさゆえの切なさ。
ジュリエット版は、静寂ゆえの切なさ。
若い頃と晩年。
セットで観るとなお深みが増しておすすめです。
それにしてもジュリエット版のカミーユのこの独特で繊細な世界観は、ポールクローデルの回顧録と詩のイメージを丁寧に忠実になぞったのかな、と思いました。
この姉弟は幼い時からとても仲が良く、お互いに芸術気質で気があったようです。で、幼い時から遠くオリエンタルな日本に憧れ、いつか行こう!と夢見ていたんだそう。
ポールは1921年から1927年まで駐日フランス大使を勤めています。
弟は念願叶い、日本の素晴らしさに感銘を受けたようで、書籍を見てもめっちゃくちゃ日本贔屓なのが分かりす。
一方の姉は夢果せずでしたが、代わりに彼女の作品が見事来日を果たします。
以来、カミーユクローデルは日本人女性の心を鷲掴みにしています。
本当にこの姉弟は、姉弟は、姉弟は…号泣。
カミーユだけではなく、詩人であり外交官だったポールクローデルの本も読み直したくなっちゃったわ。
カミーユの本は初版1989年。
で、このポールの本はぜひぜひ、広く読んでいただきたいお勧め本です。
当時、ポールクローデルの詩集を探していたんですが、在庫がなかったんだ。と思い出しました。
今ならAmazonで見つかるかも。
たまにはクローデル姉弟の本を開いて、芸術気質のフリして、ゆっくり"孤独の世界"に浸ろうっと。
あっしつこく余談ですが
日本の彫刻家禄山は、パリ留学中にロダンの影響を受け、画家から彫刻家へと転身。『女』という傑作を残しました。
が、この作風やデティールはロダンの力強い男性的な作品より遥かにデリケートで、むしろカミーユクローデルの情緒豊かで繊細なタッチに近い。
というか、彼女の代表作の『分別盛り』の『懇願する女』とポーズや構図がよく似ています。
禄山が感銘と衝撃を受けたのは、ロダンてまはく実はカミーユの作品だったのではないのか。
そんな説もあり、作品を見比べると確かに…でこの説に一票。
同じ時代に生きた天才彫刻家のオーギュストロダン、萩原禄山、そしてカミーユクローデル。
時代と国を超え多くの人の心を虜にする独特な容姿、作品の細部にまでその個性が反映される激しい気質、狂気に落ちるほど溢れた才能を持ち合わせたカミーユが軍を抜いて、最強の天才彫刻家だと、私は思います。
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